恋を届けるサンタクロースvol.2~美由紀~
「東さん……」
それでも、沖島さんの声は気遣わしげだ。
クリスマスイブなんて、きっとみんな自分のことか、家族や恋人のことしか考えないだろうに、この人はほかの子どもたちのためにボランティアをして、私のためにこんな表情をしてくれる。
なんだか胸がじぃんとしてきた。そのまま大通りを歩けば市民ホールはすぐだ。茶色い壁の市民ホールが見えてきて、駐車場の間の歩道を抜ける。大きなガラス戸の入口が見えてきて、大学生っぽい男女がふたり、折り紙で作った長い輪っかの飾りを入口の上にガムテープで留めている。男性の方が沖島さんに気づいて大きく手を振った。
「沖島さーん、フライドチキン、買えましたぁ?」
「ばっちり! これからピンチヒッターの東さんに揚げてもらいます」
「東さんですかぁ。俺は高松(たかまつ)、彼女は岡田(おかだ)です。よろしくお願いしま~す! ジュースはもう追加で買ってますから!」
「ありがとう」
男子学生に返事をして、沖島さんは市民ホールの中へと私を案内した。長い廊下を通って、一番奥にある調理室に入る。
それでも、沖島さんの声は気遣わしげだ。
クリスマスイブなんて、きっとみんな自分のことか、家族や恋人のことしか考えないだろうに、この人はほかの子どもたちのためにボランティアをして、私のためにこんな表情をしてくれる。
なんだか胸がじぃんとしてきた。そのまま大通りを歩けば市民ホールはすぐだ。茶色い壁の市民ホールが見えてきて、駐車場の間の歩道を抜ける。大きなガラス戸の入口が見えてきて、大学生っぽい男女がふたり、折り紙で作った長い輪っかの飾りを入口の上にガムテープで留めている。男性の方が沖島さんに気づいて大きく手を振った。
「沖島さーん、フライドチキン、買えましたぁ?」
「ばっちり! これからピンチヒッターの東さんに揚げてもらいます」
「東さんですかぁ。俺は高松(たかまつ)、彼女は岡田(おかだ)です。よろしくお願いしま~す! ジュースはもう追加で買ってますから!」
「ありがとう」
男子学生に返事をして、沖島さんは市民ホールの中へと私を案内した。長い廊下を通って、一番奥にある調理室に入る。