恋を届けるサンタクロースvol.2~美由紀~
「フライパンとか油とかはたしか……」

 沖島さんがガスコンロの下の扉を開け始めた。私も手伝った方がいいだろうと思って、その辺りの棚を開け始める。私が開けたところには洗剤のストックが入っていた。

「あれ、おっかしいなぁ……どこにあったっけ……」

 沖島さんがぶつぶつ言っている。私は彼の背後にある観音開きのタイプの戸棚を開けようと、取っ手に手をかけた。思ったより堅くてなかなか開かない。

「あれ、開かない……」

 思いっきり力を入れて引っ張ったら、急に扉が開いてうしろによろけてしまった。

「危ない!」

 うしろから包み込むように、沖島さんが両肩を支えてくれた。大きな手を感じて、ドキッとしてしまう。

「あ、ご、ごめんなさい」
「いいえ」

 沖島さんがパッと手を離した。戸棚を見て顔を輝かせる。

「なんだぁ、こんなところに!」
「あ、よかった」

 私は大きなフライパンを取り出してガスコンロにセットした。サラダ油を注ぐのを、横から沖島さんが覗いている。

 なんか緊張する。
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