恋を届けるサンタクロースvol.2~美由紀~
 沖島さんがひょいと手を伸ばしてフライドチキンを一本つまんだ。

「あちち」

 言いながらかじりついた。

「あっち」

 揚げたてで思ったより熱かったのか、あわてて唇を押さえた。

「くひひるやへほひた」
「え?」
「〝唇火傷した〟って言ったんです」

 目を白黒させて言うのがおかしくて、私はついぷっと吹き出してしまった。

「ご、めんなさ……」

 悪いと思うのに、一度吹き出してしまうと、今まで笑えなかったぶんまで笑おうとするように、私の体は笑うのをやめてくれない。横隔膜が勝手に震えて、笑い声が漏れる。

「ご……ごめ……ほんとに……ごめ」

 どうしてだろう。なんだかおかしくて、お腹を抱えてしまう。

「あはは、情けないですね。大の大人が子どもみたいだった」

 沖島さんも笑い始めた。ただチキンが熱くて唇を火傷しただけ。なんてことないのに、ふたりで声を上げて笑う。

 明るい声が響いて、涙まで浮かんでた。

「あー、もう、東さんってば笑いすぎですよ」
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