恋を届けるサンタクロースvol.2~美由紀~
 沖島さんが言って、私の目尻からこぼれた涙を親指で拭ってくれた。その親しげな仕草にドキッとしてしまう。

「あ、すみません」

 沖島さんがあわてたように手を離した。

「もうすぐ裏の公園で遊んでいた子どもたちがやってきます。急がなくちゃ」

 そう言ってチキンを皿に盛った。彼がホールに運ぶのを私も手伝う。

 ホール、と言っても、使うのは和室の小部屋の方で、くっつけて置かれたこたつ机の上に、ボランティアさんたちがあらかじめ買っていたチキンやジュースのほか、ポテトチップスなどのお菓子がたくさん用意されている。

「きっと子どもたちは楽しい時間を過ごせますね」

 私の言葉に、沖島さんが言う。

「東さんもどうですか?」
「え?」
「東さんもよかったらここで一緒に楽しい時間を過ごしませんか?」

 私は瞬きをした。

「えっと、でも、ボランティア登録もなにもしてない私がいたら、ご迷惑なんじゃ……」
「お名前は東美由紀さんですよね。お住まいはこの市ですか?」

 沖島さんに問われて、私はうなずく。

「はい、そうですけど……」
「これで東さんの情報は登録されました。問題ありません」
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