恋を届けるサンタクロースvol.2~美由紀~
 沖島さんの声に送られて、ボランティアの大学生が自転車に乗って去って行く。彼らの姿が消えて、沖島さんは私に向き直った。

「鍵を返してきますので、少し待っててください」

 そう言って表玄関に施錠して、裏の警備員室に鍵を返しに行った。すぐに走って戻ってくる。

「お待たせしました」
「いいえ」

 ほんの数十秒のことなのに、沖島さんの律儀さに口もとが緩む。

「お住まいはどちらですか?」
「商店街の少し先のマンションです」
「わかりました」

 市民ホールの前の街路樹は、青と白のLEDイルミネーションで彩られ、ロマンチックな雰囲気だ。そんなところを並んで歩いている私たちは、恋人同士に見えたりするんだろうか。

 なんて思って、苦笑する。だって、私も沖島さんもコートの下はサンタクロースの衣装のままなのだ。

「どうしたんですか?」

 私の表情に気づいて、沖島さんが言った。
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