恋を届けるサンタクロースvol.2~美由紀~
「あ、いいですよ、私……」

 言いかけた私に、男性客がハッとする。

「もしかして、これ、店員さんのでした?」
「あ、いいんです。チキンだって楽しく食べてもらえた方がうれしいと思いますから」
「かまいませんか?」

 男性に畳みかけられ、私はうなずく。彼は「ありがとうございます」と言ってから、店内を見回した。

「あのー、すみませんが、あと十本ほどフライドチキン、ありませんでしょうか?」

 私は店長さんを見た。店長さんが困ったように白い眉を寄せ、そのせいで白い眉が一文字につながって見えた。

「もう店を閉めようと思っていたんですけどねぇ……」

 店長さんの言葉に、男性はがっくりと肩を落とした。

「すみません、遅かったですよね……。それじゃ、その五本を……。あとどうにかして十本探そう……」

 あまりに落胆している男性が気の毒になって、私は店長さんに言う。

「あの、店長、味付けして残っているチキンがあったら、私に譲ってもらえませんか?」
「まあ、あるにはあるけど……」

 店長さんの言葉を聞いて、私は男性客に向き直る。
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