恋を届けるサンタクロースvol.2~美由紀~
「いえ。私でも誰かのお役に立てるのならうれしいです」
「きっとみんなよろこびます。サンタさんが来てくれたんだって」
「あ」
言われて私の頬が熱くなった。急いだ方がいいだろうと思って、サンタコスチュームの上から白いコートを羽織っただけの姿なのだ。
「あとで俺もサンタクロースの衣装に着替えますから」
「あ、そうなんですね」
「でも、すぐにばれちゃうんですよね。去年だって付け髭までつけたのに、一分もせずに気づかれちゃったんですよ。『地域振興課の沖島さんだ~』って俺の部署まで覚えている子もいるんですよ」
「地域振興課ってことは、沖島さんは市役所の職員さんなんですか?」
「あ、はい。名刺をお渡しします」
沖島さんが片手をコートの内ポケットに入れて、シルバーの名刺入れを取り出した。一枚抜き出して足を止め、ご丁寧に私に差し出す。
「地域振興課主事の沖島慎也と申します」
「ちょうだいいたします」
両手で受け取って、ショルダーバッグの中の久しく使っていなかった名刺入れに入れた。失業してしまったときに名刺は処分してしまったので、仕方なく自己紹介だけする。
「きっとみんなよろこびます。サンタさんが来てくれたんだって」
「あ」
言われて私の頬が熱くなった。急いだ方がいいだろうと思って、サンタコスチュームの上から白いコートを羽織っただけの姿なのだ。
「あとで俺もサンタクロースの衣装に着替えますから」
「あ、そうなんですね」
「でも、すぐにばれちゃうんですよね。去年だって付け髭までつけたのに、一分もせずに気づかれちゃったんですよ。『地域振興課の沖島さんだ~』って俺の部署まで覚えている子もいるんですよ」
「地域振興課ってことは、沖島さんは市役所の職員さんなんですか?」
「あ、はい。名刺をお渡しします」
沖島さんが片手をコートの内ポケットに入れて、シルバーの名刺入れを取り出した。一枚抜き出して足を止め、ご丁寧に私に差し出す。
「地域振興課主事の沖島慎也と申します」
「ちょうだいいたします」
両手で受け取って、ショルダーバッグの中の久しく使っていなかった名刺入れに入れた。失業してしまったときに名刺は処分してしまったので、仕方なく自己紹介だけする。