恋を届けるサンタクロースvol.2~美由紀~
「私は……あの……名刺がなくてすみません。東美由紀(みゆき)と申します」
「どうぞよろしくお願いします」
「あ、はい」
今日チキンを揚げるだけなのに、改まって自己紹介して、なんか変な感じだ。
「今回のも市の事業なんですか?」
私の問いかけに、沖島さんが歩き出しながら言う。
「いいえ。今回のはボランティアなんで、市の事業とは関係ないんです」
「それじゃ、わざわざクリスマスイブにボランティアされてるってことなんですか……?」
「まあ……どうせ家にいたってひとりきりですから」
沖島さんは恥ずかしそうに後頭部を掻いて続ける。
「東さんは……あの鶏肉屋さんで働いていらっしゃるんですか?」
「いいえ、今日だけのアルバイトです。二ヵ月前まで駅前の書店で働いてたんですけど、店がつぶれてしまって」
「それはお気の毒に……」
心底気の毒そうに言われて、私はあわてて胸の前で両手を振った。
「あ、気にしないでください。沖島さんはさっきみたいな笑顔でいないと……今日は子どもたちのために楽しい雰囲気にしなきゃいけないんでしょう?」
「どうぞよろしくお願いします」
「あ、はい」
今日チキンを揚げるだけなのに、改まって自己紹介して、なんか変な感じだ。
「今回のも市の事業なんですか?」
私の問いかけに、沖島さんが歩き出しながら言う。
「いいえ。今回のはボランティアなんで、市の事業とは関係ないんです」
「それじゃ、わざわざクリスマスイブにボランティアされてるってことなんですか……?」
「まあ……どうせ家にいたってひとりきりですから」
沖島さんは恥ずかしそうに後頭部を掻いて続ける。
「東さんは……あの鶏肉屋さんで働いていらっしゃるんですか?」
「いいえ、今日だけのアルバイトです。二ヵ月前まで駅前の書店で働いてたんですけど、店がつぶれてしまって」
「それはお気の毒に……」
心底気の毒そうに言われて、私はあわてて胸の前で両手を振った。
「あ、気にしないでください。沖島さんはさっきみたいな笑顔でいないと……今日は子どもたちのために楽しい雰囲気にしなきゃいけないんでしょう?」