ふんわり系男子が考えてること。
いきおいで教室飛び出してきちゃったけど
大丈夫だよね!?
『わ!ごめんね!通るね〜』
私が走ってる廊下には他クラスも
文化祭準備で盛り上がっている。
それをうまくかきわけながら
廊下の奥に進んだ。
どこに行ったんだろ。
『ももー!なにやってんの!』
きょろきょろしてると、
他クラスの友達、まいちゃんが
話しかけてきた。
まいちゃんはトレードマークの
ゆるふわツインテールをふわふわ
させている。
『ねぇ、彼方くん見なかった??』
『ん?あー!さっき女の子と
歩いてったよ!二人ともにこにこしてた!』
『あっちね!ありがとう!じゃ!』
私はまいちゃんに手を振って
また走り始めた。
なんでにこにこしてるの!
もう!ほんとどこ行っちゃったの!
たくさん走ってたどり着いたのは
長い廊下。
『彼方くーーーーん!!』
実験室や美術室が並ぶ
長い廊下にはただ私の声が響くだけ。
今頃、2人でなにやってるんだろ。
彼方くん、私のことが好きなくせに
なんで他の女の子と抜け出しちゃうの??
やっぱり遼くんが言ってた通り、
他の女の子にも同じことしてるの??
ちがう!彼方くんはそんなひとじゃないもん!
そんな‥‥女の子を弄ぶひとじゃない!
なーんて‥‥
『あは‥‥っ。天使と悪魔みたいな
妄想するの初めて‥‥』
私はなんだか独りぼっちになった気がして
その場にしゃがみこんでしまった。
見つかんないし、
教室もどろっかなーー。
『ももーーー???』
‥‥!!!
知ってる甘い声に私は顔を上げる。
『か、彼方くん!!!?』
『ももーーーー』
やっぱり!!!
どっちからだろ?
うしろから?まえから??
‥‥どっちでもいいや。
来てくれたらどっちでもいい。
『彼方くん、ここ!!』
『どこ!?どっち??』
さっきよりもはっきり大きく
聞こえてくる彼方くんの声。
それと、響く足音。
『もも!!‥‥あ、いた!!』
前を見ると、彼方くんが
こっちに向かって走ってきた。
走ってる彼方くんも可愛いな。
私はしゃがんだまま
彼方くんに両手を広げた。
『はぁはぁっ‥‥え?なに?』
『抱っこ。』
『抱っこ??』
『早くーー』
私に言われるがまま
私の腰に手をかける彼方くん。
そして私をヒョイっと持ち上げた。
『呼んだでしょ?俺の事』
『遅い。ずっと呼んでたのに。』
『ごめんね。ちゃんと来たから許して』
私は返事はせずに彼方くんの
胸に顔をうめた。
前と同じ甘い香り。
この香り、マシュマロに似てる。
『あ!そういえば笹森さんと
いたんじゃなかったの??』
『‥‥置いてきちゃった。
だってももの方が大事。』
『2人で抜け出したくせに??』
『ちがうよ、笹森さんが体調悪いから
保健室についてきてって言われて、
でも、変に遠回りされたせいで全然保健室に
たどり着かなかった。』
‥‥なんだ、そうだったんだ。
てっきり2人で‥‥。
『もしかしてもも、やきもち??』
『え!!!』
‥‥ほんとだ、私、やきもちやいてる。
彼方くんが女の子と2人っきりって
嫌だったもん。
だから、彼方くんを探しに行った。
『可愛いっ、もも 顔 真っ赤』
『見ないで、ばか』
私は彼方くんの目を両手で隠した。
だってこんな恥ずかしい顔、
見られたくないっ。
『もも、好きだよ』
『‥‥ちょっと///やめて////』
今、そんなこと言われたら
もっと真っ赤に‥‥!
私と彼方くんは文化祭の準備なんて
忘れて2人でずっとこんな感じで喋った。
もちろん、抱っこのまま♡
タンタンタンタンッ
『あ、いた‥‥!‥‥え!?春川さん??
なんでいっつも春川さんといるのよっ』