真夏の恋便り
学校に着いて、授業が始まる時間まで余裕があったから、真っ先に手紙を渡す事にした。


手紙を目の前で、ヒラヒラとさせながら受け取るのを待つ。


「はい、手紙だって。ちゃんと読めよ」


「捨てとけよ、いらないから…」


受け取る素振りもない、冷たい態度のコイツに、手紙を顔の目の前まで突き出した。


「おいっ!!調子に乗るなよな、ちゃんと読めよ!!ほらっ」


「分かったから…ただでさえ、暑いのに騒ぐなよ?余計に暑くなるから…」


“いつも一緒に居る人”


……今、手紙を渡した奴は、性格は悪いけど、顔は良いし、成績も良い。


スポーツはまぁまぁ。


……つーか、女は話した事もないくせに、手紙とか、よく書くよなぁ…。


性格、激悪だからな、こいつ。


手紙貰っても、ゴミ箱行きが当たり前。


見かけだけ好きになるなら、傷つくだけだよ?


……と負け惜しみ、負け犬の俺は、心の中で吠えてみたりする。


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