☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
不意に、扉が開いた。
「おいお前らいい加減でて…こ…い…って…セレン?」
鏡の前に突っ伏しているセレンと悪魔のように笑うキングを視界に映し、ヘリオは青ざめた。
「キングっ!おまっ…セレンに何を…!」
「見ての通りメイド服と猫耳と尻尾つけただけだけど」
「セレンは男だぞてめえ!どこまで屈辱的な格好を…!」
「あーあんまし言ってやるな?セレンが耳塞いでる」
無表情に耐えていたセレンはヘリオの台詞が聞こえないよう、しっかり耳を塞いでいた。
「セレンちゃんなかなかサインしてくれないんだよな。実は趣味だったりすんのかな、女装」
「やれと言ったらやるけど、セレンはクールビューティー美少年だ!間違ってもこんなことしたら駄目だろ!タブーだろ!」
「そおかぁ?」
嬉しそうににっこりした悪魔を横目で見ながら、ヘリオはぐったりしているセレンにすりよって言った。
「とりあえずそれ着替えて出てこいよ、男の子拾ってさ。そいつ目覚めたらしい」
「…嫌だ…」
「ああそうそう、この服サインしねー限りぜってー脱げねーの」
「…お前、悪魔越えてるだろ。考えてることいちいち質がわりぃ…」
「…ヘリオ、どうしようか」
セレンが無表情にヘリオに言った。
「サインしたら?」
ヘリオは提案したが、セレンはブンブン横に首を振る。
「…しろよ。一体どういう誓約書だよ…あれか?もしかして一生猫耳外しませんとかそういう?」
「…」
「これこれ」
キングに見せつけられた誓約書に目を通し、ヘリオは微笑んだ。
「いいじゃん、サインしようよセレン」
「嫌だ」
「じゃあどうするんだよこの服」
「…燃やす」
「やめろ」
ったく、とヘリオは溜め息をついた。
「キングどうにか妥協しろよ。こいつにはレベル高すぎる」
「じゃあいいよ。ヘリオにキスな」
「…」
「いや、別の意味でレベルたけーよ。舌噛みきるだろセレンが」
「はいはい、じゃあ今回は見逃してやるよ。ただし」
次は容赦しねえからな。
キングの声に込められた嬉しそうな悪意に、セレンは何度も頷いた。