☆Friend&ship☆-妖精の探し人-

「嗚呼至福」

幸せそうに頬張るへリオの横で、セレンはサラダを引き寄せつつニンジンを齧った。

「…へリオ、俺は配膳を」

「ん?あ、おい肉くえっつったろ!」

「…」

ニンジンを取り上げられてしまったセレンは、仕方なくフォークで脂身をつつく。

表面をひっかいてわずかについた油をぺろりと舐めた。

「おいこら!!ちゃんと食えって!!」

「…一応設定としてはベジタリアンなんだ」

「設定知るか。はよくえっつーの」

せっかく作ったプロフィールを無視されてしまったセレンは本当にしかたなくステーキをつつく。

「あーもーじれってーなー!!」

「あぐ」

喉の奥の奥の奥の奥の奥の奥までフォークを突っ込まれてしまった。


「…楽しそうだね」

「キースさんも意外によくお食べになるんですね」

「うん、大抵200gは食べるかな。美味しいし。アクアちゃんはあんまり好きじゃないの?」

「いいえ、でも私一応ほら…乙女(?)ですし!?」

「…うん、そうだね。でも色々気にするのはせめてあと五年後にしようよ」

絶対成長しないから、とキースは言った。

「このDeath-planetでも身長は伸びるんだよ、ちゃんと細胞分裂が起きるから。老化はしないんだけどね、だからちゃんと食べないと」

「えー」

「…」

子供みたいに鼻をつまんでサラダを食べるアクアに、キースは苦笑いした。

「…美味しいから普通に食べてみなよ、アクアちゃん。全部とれたてだよ?温室で育ててあるし、有機野菜」

「おやさい嫌いなんです、でも食べないとセレにぃに怒られちゃう」

「…」

そっかと頷いて、キースはキングに奪われかけた皿を取り返し、豪快に引きちぎった。


「あぐが、い、いだいへリオ、へりお…」

「わりぃ」

可哀想に、セレンは限界の先まで開かされた口を押さえつつ、生理的な涙を流し続けていた。

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