☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「…」
その男の子は、瞳をクリクリさせながらセレンを認めた。
「…スイム君で合ってるか」
「うん、そうだよお兄ちゃん。ぼくはスイムって言うんだ」
僅かに薄い黒の瞳はネズミ色とも言えなくもない。
寒さに凍えたような白い肌で、ピンク色に仄かに頬が熱い。
橙の髪は短くカットされて、くせっけなのか時おりクルンと跳ねている。
「はじめまして、スイム」
「うん。お兄ちゃんの名前は?」
「セレンだ」
「ふぅん…セレンお兄ちゃんだね」
「あぁ」
スイムはにこりともせずにセレンを見る。
セレンはそれを見返して首をかしげた。
「ねえ、セレンお兄ちゃん。ぼくね、探してる人がいるんだ」
「…」
「妖精のお姉ちゃんなんだけど、知ってる?」
「…いや、もう少しなにか手がかりはないのか」
「お兄ちゃんが一番よく知ってるお姉ちゃんだよ」
「…」
「ある日突然ぼくの家族になったんだけど」
「…悪い、分からない」
セレンは被せるようにそう言った。
「で、スイム君?きみどうする?食料だけのせてまた一人で旅したい?」
「ううん、ぼくはこの船にしばらく乗っけてほしいな」
「はぁ?おい降りろよここにはお前の居場所は…」
「いいでしょ、セレンお兄ちゃん…?」
「…船長の命令は絶対だ」
「じゃあいいの?ぼくは大声で言うよ?」
「…」
セレンはギュッとヘリオの服の袖を掴んだ。
「ヘリオ…」
「何を握られてるんだよこのガキに」
「色々…」
「…」
分かったよ、とヘリオはスイムに言った。
「おっけ、スイムくん。しばらくこの船乗せたげる。但しじょーけんな?」
「うん」
「セレンに手を出すな。以上!」
「…うん」
スイムは微妙な顔でうなずいた。
「ねえ、お兄ちゃんたち恋人なの?」
「違う」
セレンは足早にスイムの前から立ち去った。