☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「…あの人の…あのひとのせいよ…」
「まてこら落ち着けって!」
「ふざけないでよ!」
キッとヘリオを睨み付けるセレン。
「…シュール…」
「あの女はどこ!?殺してやるわ!」
「いねーよ!」
「あなたもあの女の味方をするのね!?じゃあいいわ、あなたも殺してあげる!」
「おいホントまてよぉぉぉ!?」
繰り出される短剣をかわしつつ、ヘリオが叫ぶ。
「あの浮気男め、最後の最後まであの女とぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うぎゃ、ちょ、ま…」
「私はイケメンは嫌いよ!」
これを言っているのが髪を振り乱す絶世の美少年なのだから余計に混乱する。
ヘリオは宙返りと共に鏡を見せた。
「セレンから出ていけ!」
「ぎゃぁぁぁ!」
自分の顔を見て、セレンは気を失った。
「…いやぁ…あんなに感情を露にしたセレンは初めてだね…」
「全くだよあいつ!女の怨霊多すぎだろ!」
こんな幽霊地帯通るんじゃなかった、とヘリオは頭を掻く。
「くっそぉ…もういい加減戻れって…」
その時、セレンが目を覚ました。
「ミー」
「はぁ?me?」
「ミーミー」
セレンはうつ伏せになって目を閉じたまま、スリスリヘリオにすりよる。
「どしたの、お前」
「ミーミー、ミー」
「ねえ、ヘリオ、まさかとは思うんだけどセレン…」
キースが遠慮がちに言った。
「子猫に憑かれたんじゃない…?」
「…と、いうわけだよ」
「じゃあセレンお兄ちゃんは四つん這いでミィミィ哀れっぽい声を上げてるわけだ」
「いや、まだ上手く歩けてねーんだよ…つか何を期待してたんだお前!?」
「猫耳あげいん」
「どこから流出した!?」
スイムはひゅーひゅー下手な口笛をならす。
ウィングはとりあえずミィミィ言っているセレンをよしよし撫でてやった。
「ミーィ」
「…」
「…」
「…」
「猫耳、着けよっか」
「うん、そっちのほうがまだマシだ…」
ヘリオはウィングの足の上で気持ち良さそうにゴロゴロ言っているセレンを一瞥して言った。