☆Friend&ship☆-妖精の探し人-

別れの約束


「うっせぇ黙りやがれぇぇぇ!」

けたたましくなり響くサイレンに負けじと、ヘリオは誰にでもなく叫ぶ。

四方八方から切りかかってくる戦闘員を避けつつ、まわりに目を走らせた。

少し離れた所では、キースが応戦している。

遠くで見えはしないが、そちらでウィングも戦っているはずだ。

スイムはいつの間にか消え、キングは今背中合わせで戦っている。


「おい、俺の力を…」

「馬鹿!真っ先に犠牲になんのは俺だろーが!」

長剣をグワンと大きく振ると、何本もの剣を弾き飛ばした。

衝撃でヘリオの肩に激痛が走ったが、それどころではなかった。

「気を付けろ、悪魔も混ざってる!」

時たま雷鳴が轟き、爆音が鳴る。

トライアングルの魔法陣を左足に感じたヘリオは間一髪飛び退くが、爆風で数メートル上空へ飛ぶ。

同時に襲いかかってくる銃弾の嵐に、重力を盾に剣で致命傷だけは避けた。

「大丈夫かよヘリオ!」

「うるさい、集中しろ!」


広すぎる船内に余りある敵の数にヘリオは舌打った。

サイレンとともに掛けられた鍵で扉が閉まったメインルーム以外への侵入は防げているが、例外はあった。

地下への通路だ。

もちろん地下の部屋にも鍵はかかっているし、問題はない。

だが、心配なのは中の二人だった。

工具室の扉は普段防護魔法がかかっていない。

それは工具室に盗られるようなものや、見られて困るものがないからだが、工具室は狭く当然刃物も多い。

セレンなら敵なんて一発で殺処分だろうが、かえってシルンが足を引っ張っている気がした。

夢術は残念ながら味方と敵を認識する便利なものではないので、セレンの夢術を使えば、冷たい炎がシルンをも襲うだろう。

魔法も同様だ。

強いだけにリスクが高い。

そのリスクを冒せるようなメンタルはセレンにはない。


ヘリオは大きく舌打った。


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