☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「旋風っ!」
「雷鳴!」
起こった旋風の中心部へ、雷が落ちる。
「雪煙!」
混ざった雪が、ウィングの視界を奪った。
「…ったく、ボスパラダイスかよっ!」
ウィングは激しくワイヤーをしならせ、鞭のように動かす。
金属の、容赦なく敵に振り下ろされるその音が戦闘を激しく彩った。
「カマイタチ!」
一瞬の風の通り道にワイヤーが躍り、自分より体重の重そうな男に先を巻き付けて一気に引き寄せる。
一直線に飛んだウィングは、待ち受けていた数人を蹴りあげると、軽くサンダルを鳴らして短剣を出した。
「…とにかく、だ」
アンフェアでもなんでも、勝てりゃぁいいんだろう、船長さん!
ワイヤーを巻き取り回収すると、防護用の手袋をはめて、腰の袋から殺傷力の高い釘を絡ませた鎖を取り出す。
「移動魔法…駿足」
一気に敵の間を駆け抜け、円形に鎖を放つ。
最後にグッと力を入れ上空へ飛べば、血雨が降った。
倒れた敵のその背後からの射撃を全包囲魔法陣で鏡のようにはね返しながらウィングは前転で上手く体重を逃がす。
転がった先でそのまま倒立、相手の首の付け根を刺して止まるとそのまま足を曲げて短剣を抜いた。
「ったく…雑魚が…」
足元の芝生はちょうど紅葉したようだった。
ヌルッと滑る足元に舌打ちして、ウィングは風と共に飛ぶ。
それでも終わらない追撃に恐怖さえ覚える暇はなく、ウィングはただ冷静に、生き残ることだけ考えた。