☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「…っ、はぁ、はぁ、はぁ…」
息が苦しい。
人が、敵が多すぎて。
息が続かない。
さっきから戦闘系魔法ばかり使ったからだとキースは思った。
移動系魔法特化、つまり移動系魔法にのみ超人的な魔力を誇るウィングと違い、魔法に特化がないキースは爆発的に飛躍した能力はない。
一対一ならともかく、大人数相手ではちょっとスケボーが上手いくらいの…いわば一般人レベルの戦闘力だった。
三人ずつでも精一杯なのに、こんなに来られてはもうどうしようもなかった。
夢術を使うにもスケボーのための坂を造り出すのが限界で、攻撃どころか防御もできそうにない。
容赦なく飛んでくる銃弾に恐怖しかなく、目の前を掠めたそれにキースは叫んだ。
「はぁ、落ち着け、お願い、落ち着いて…」
奪われた手足に眼球が疼く。
銃弾の掠めていった痛みに頭が狂ってしまいそうだった。
「…お願い、落ち着け…」
震える手足を叱咤し、キースは邪魔にだけはならないように走り続けた。
止まったら終わりだ。
そして、規則的な動きを避けるためなるべく動く。
動けなくなるのを防ぐためなるべく空中には飛ばないように。
逃げることしか考えられない自分を酷く弱く感じて、キースは叫ぶ。
悲鳴が聞こえる度、無力さを教えられるようだった。
闇のように迫る自責の声からも逃げるため、無我夢中でキースは駆け回った。