☆Friend&ship☆-妖精の探し人-

「キング、俺は地下に…」

「馬鹿、ここもギリギリなんだよ、お前が抜けたら占拠される」

ここがとられたら終わりだろ、そう言うキングにヘリオは歯ぎしりしてそれなら、と半ば叫ぶように言った。

「キースはこんな大人数あいてじゃ戦えないだろ、俺はあいつの援護してくるからウィング頼む」

同時に足下で展開されたサークルに身を捩って逃れると、一瞬のあと光の柱が放たれた。

「どうやって行くんだよ、これじゃあ…」

「血路を開く。お前は先にウィングの方へ向かえ。俺はキースの方に走るから」

頷いてキングは宙に舞う。

力を解放しなければ死神の力は使えない、よって夢術も魔法も使えない訳だが、こんな血にまみれた戦場で解放してしまえば敵味方関係無く切り刻んでしまうことうけあいだった。

キングは鋼鉄で織った布に体を突っ込み銃弾から身を守る。

ヘリオが一瞬で道を造ったのが見えた。

「走れ、キング!」

銃弾の飛び交う中、キングは走ってウィングの旋風の中へと突っ込んだ。


「…くっ…そ…」

雨あられと降り注ぐ氷の刃が、風の天井を突き破ってウィングを切る。

そこら中に仕掛けられた罠(トラップ)に舌打ちして、ウィングはもがきつつなおも爆風に鎖を踊らせた。

罠にかかってしまえば当然酷いダメージを負うのだ、よって発動条件の魔法は使えない。

数人の同能力の悪魔がいるらしい、氷の雨はやむことはなかった。

「…っ、おいおいおいちょっと待てよ…」

上空に巨大な氷柱を見つけてウィングはサッと青ざめた。

あんなもの、吹き飛ばせる訳がない。

重力に従って落ちてくるそれに、ウィングは鎖を激しく鞭打つように鳴らしたが、表面の氷を僅かに削っただけだった。

避けることなんてできない、ウィングは鎖を両手に張って構えた。

「お兄さん、こんなもん受けれると本当に思ってたんですかぁっ!」

と、突然弾けた氷に、ウィングは驚いて、それでも破片を利用し敵へ吹き飛ばす。

意外にも、キングは武道派のようだった。

あれを蹴り一発で砕いた脚力は正直化け物だが、まあ強いのだからと無理矢理納得した。

「そう物凄い馬鹿力でもねーよ、人にも物にも、弱点っていうのはあるものだからな…そこをついたら一発で仕留められる」

ウィングには風の中揺らぎもせず立っているキングは正直不気味だったが、軸を絶対にずらさないその綺麗な立ち方はきっとどんな爆風でも吹き飛ばすことなんてできないのだろう。

今度教えて貰うな、と心に誓ってウィングはまた鎖を踊らせつつ、銃弾を宙返りで避けた。

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