☆Friend&ship☆-妖精の探し人-

「うわぁっ!」

銃弾で弾けた車輪に、ガクッとボードが傾いてキースが倒れたのが見えた。

それでも捕まるまいと右へ左へ転げ回っているキースの顔にははっきりと恐怖が刻まれ、ヘリオはそれに必死で呼びかけた。

頼むからパニックになるなよキース、大丈夫だからな…


「あ、あ、あぁぁっ!」

「しっかりしろキース!」

間一髪、なんとかトドメを刺そうとした剣を弾き、キースを抱えて壁際まで走る。

360度敵よりは背後が潰されても180度
の攻防の方が有利だ。

すでに再生したスケートボードに飛び乗るとヘリオは一気に駆け抜けた。


「戦えるか、キース。無理なら寝てろよ、盾になろうとかセレンみたいなこと考えんな」

盾になろうというのはセレンみたいな考えらしい。

「無理するなよ、キース。お前は爆弾じゃねーんだからセレンみたいに油被って飛び込むなよ」

セレンは油被って敵陣に突っ込んだのだろうか…

ヘリオの苦労が思われる台詞に涙しながらそれでも安心している自分に、キースは少し驚いた。

心の何処かではそうしたいと願っていたのだろうか、そんな馬鹿な。

そんなことが誰の為でもないと誰よりも自分が知っていたはずなのに、そんなことを思っていたなんて。

得意不得意があると割りきっていたはずなのに何だろう、この焦りと罪悪感は。

「ごめんなさい、ヘリオ」

「うっさい、セレンか」

今のもセレンが言うらしい。

キースは首をかしげた。

「ごめんなさいなんて言ってたらキングに殺される、お前はメイド服着たいのかよ!」

「…ううん、嫌だよ」

なぜメイド服に繋がるのかは全くの謎だったが、キースはとりあえず首を振っておいた。

「じゃあごめんなさいじゃねーだろーが」

キースは一瞬考えて、にっこり笑って言った。

「ありがとう、助けてくれて」


ヘリオは満足げにニヤッとして、良くできました、と叫んだ。

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