☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
ドンドンと激しく揺さぶられる扉に、防護魔法をかけながらなんとか押さえるセレンを、シルンは恐々と見つめる。
「あの、セレン…私は…」
「お前の右足の乗ってる板から左へ三つ、右へ1つ前に二つと右に1つ叩け」
シルンは指示通り這いつくばると左へ三つ叩きその後右へ1つ、前に2つ叩いたあと右に1つ叩いた。
するとするすると床が動きぽっかりと四角い穴が開く。
「降りていけ、着いた部屋で正面の扉を三度叩いて16と言って開いた扉の中に入って階段を上れ。はね戸を開けるとメインルームだ、そこでヘリオを探せ」
淀みない指示を頭に叩き込みながらシルンは頷く。
セレンはなおも指示を続けつつまた砕けたバリアを作った。
「見つけたらなるべく戦わず助けを求めろ。相手は悪魔も混ざってる、敵うと思うな」
「でも私…」
「口答えするな、命令だシルン」
「でも…」
ヘリオに加勢したいの、そういいかけて振り返ったセレンの眼差しに黙った。
切ないほどに熱望した目、本気で生き残って欲しいと瞳で語りかけられた。
「シルバーレインボー、いいな、生きることだけ考えるんだ」
静かなその指示があまりにも逆らえない。
シルンは頷いて、でも次の瞬間首を振って激しく抗議した。
「俺は残る、ここで敵を食い止める」
「いや、そんなの絶対に!」
「言うこと聞けシルン」
「それなら私も残らせて!セレンを置いていくなんて嫌!」
「…」
セレンは黙って、静かに言った。
「お前を俺に傷つけさせるな…頼むから」
「怒らせて、私はここにいるから!」
「じゃあシルン」
セレンは顔をそむけたまま、指を鳴らしつつシルンに言った。
「足手まといだ。悪魔と宇宙族や人間とじゃ徹底的な差がある。ヘリオみたいに化け物じみてたら別だが、お前じゃ相手にもならないんだ」
「でも!盾にくらいになら…」
「ふざけるな、俺がお前を盾にしてまで逃げたいと思ってるというのか」
「でも、役にたちたくてっ…」
「気持ちは分からなくもないが、逃げろシルン」
役にどころか犬死にになりかねないと、セレンはそういって、シルンをまた振り返った。
「必ず後を追うから」
「…」
シルンは涙を浮かべて、四角い穴に飛び込んだ。