☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
ドドドドドドカァンと、連続した爆発音が響く。
ヘリオはそちらに顔を向け、落ちていく鎖と銀髪を一瞬見た気がした。
直後に聞こえた悲痛な叫びがそれが真実だと裏付けたが、なるべく気にしない振りをしつつ、また大きく凪ぎ払う。
キースは数人を相手に息が上がっているようだったが、なんとか戦えているようだ。
不馴れな短剣を何度か弾かれていたが、その都度ヘリオが加勢してやればいくらでも落ちている短剣を拾い、戦況は安定している。
少しずつ慣れて来たのだろう、だんだん弾かれる回数が減ってきた。
キースは着実に技術を身に付けている。
ヘリオはただただ避ける斬るを繰り返し、単調に、確実に戦っていた。
セレンたちが心配だったが、人波で会いに行けそうもない。
生きてろよ、そう心の中で呼び掛けてまたヘリオは縦に切り下ろした。
もう戦闘を楽しむ余裕も残ってはいない。
戦力は歴然だが、何しろ数が多いのだ。
その時、どうやらウィングをキングが抱えてきたようで、空いた空間にキングが飛び込んできた。
「ウィングは?」
「死んではないと思う、火傷も奇跡的に深くはないし打ち所も良かったからな。ただ切り傷が多い…多分ウィルスか何かに感染したら終わりだ」
瀕死ってところ、とキングは冗談混じりに言う。
「まあ、調子に乗ってた罰だな。ちゃんと反省してるだろ」
ああ、と頷いてヘリオは溜め息を着いた。
「…どうする、この量はキツい」
「だな、魔法つかえねーと広範囲の攻撃ができない」
いくら強くても物理法則が適応されないということではないので、剣で竜巻を起こしたり斬撃をたくさん飛ばすことはできないし。
多少ならできなくもないが、空気に斬撃を伝えて一気に即死なんて器用なことはできない。
何でもありなのは魔法だけだ。
「解放しろよ、ヘリオ」
「嫌だ、あの姿見られるんなら死んだ方がマシ」
「シルンには見せたくせによく言うぜ」
「あいつは、あれがなんたるかをしらないだろ。セレンは優しいだけだし」
「キースだって優しいだろーがっ!」
喉笛を殴りつけられた相手はグエッと嫌な音をたてて倒れた。
「うっせー、同情票なんかいるか!それに!ウィングにだけはっ!知られたくねーの!」
回転攻撃を仕掛けながら、ヘリオは言った。
「じゃあセレンが出てくるの待つか?」
「しかねーよ」
キースは元々一対一だもんな、とヘリオがキースに言ったが、キースはそれが言い訳にしかならないことくらい分かっていた。