☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「…誰?」
「…君こそ誰ですか?」
急に現れた傷だらけのお兄さんにただならぬ殺気を放ちながらスイムが言った。
「…あー、ヘリオ君の子供さん…?」
「違うよ、この晩年低血圧」
「…まだ晩年ではないことを祈っていますが、今死亡フラグが立った気がします」
哀しげに言った大隈男…じゃないゼロはスイムに屈んで視線を合わせた。
つい最近まで受けていたらしい拷問の傷がまだ痛々しい。
ところどころ回線が見えてしまっているのは気のせいだとしても。
「何故誰もいないんですか?あ、君以外に、ですが」
星にでも停泊しているんですか、とゼロが穏やかに言った。
「ううん、シルンお姉ちゃんとセレンお兄ちゃんが寝ちゃったの」
「寝ちゃった?」
「うん」
こっち、とすてすて歩き出したスイムに、ゼロはついていく。
「そういえば、お兄ちゃんの名前は?」
「ゼロ=ブライドです。ゼロと呼んでください」
「ゼロお兄ちゃんだね?」
「お兄ちゃんなんてつけなくていいんですよスイム君」
「え?僕を知ってるの?」
「はい、L君から…あ、セレンお兄ちゃんのことですが、数日前連絡がありました。スイムと名のる小さな子がいると…」
「…なんかやだな」
「まぁ、良いじゃないですか」
目を細めて、ゼロは微笑んだ。
「私は、L君の専属奴隷のような物ですから…いえ、世話係といっておきます」
「セレンお兄ちゃんいいとこの人?」
スイムは不思議そうにそう聞く。
ゼロは微笑んで、そうですね、と笑った。
「とってもいいとこの人です。彼は、1つの世界を支えています」
誇らしげに疲れたような声で、ゼロは言った。