☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「お前がN?」
「そうだ、そっちはヘリオ君だな。いつもリトルが世話になってると嬉しそうに報告してくる」
会釈しつつ歩き出したNに、ヘリオも続いた。
「は?」
「何とはなしに声が弾んでいた。今日はご主人様がお水を飲ませてくれたとかたくさんお話したとか」
「…」
幼稚園児の日記じゃねえかと、ヘリオは思った。
「今日も叩かれなかった今日も殴られなかった今日は貧血に気がついてくれて医務室に寝かせてくれたと幸せそうに報告してきたものだが」
どこまで可哀想なやつの日記だ。
「リトルはお前を失う事を極度に恐れていたよ、ヘリオ君」
「…」
「君の信頼を失うことを、リトルは何より恐れていたらしいな。しょっちゅう3分寝坊したどうしようとか窓ふきが終わらなかったとかご主人様の視線が冷たいきがするとか」
「…そんなギリギリの状態に置いてたつもりじゃなかったんだけどな」
助けてって言ってくれたら絶対助けるというそのささやかな安心すら、セレンには与えられなかったのだろうか。
ヘリオはうつむいて、涙を流した。
「…セレン、と。呼んでいたのか?」
「そうだけど」
「本当の名前を知らないのか?」
「いや、俺とキングは知ってるよ。他には教えてない。あいつ馬鹿だから」
Nは珍しく楽しそうに笑った。
「じゃあ、彼の種族は?」
「名前と一緒。馬鹿なこといっつも考えてやがる」
Nは嬉しそうに笑った。
「君と同じだな」
ヘリオは足を止め、警戒するようにNを見つめた。