☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「…」
「どうしたの?ゼロ?くらーい顔して」
「私の顔はいつも同じです」
「なんかやなことあったの?」
「いいえ、ロメさん。ちなみに彼は一階奥の手術室にいるので私について来ても会えません」
「もう、つれないなぁ」
そういって、ロメはゼロに思いっきり後ろからハグした。
ゼロの足は一旦止まり、ため息の後に冷たく丁寧に引きはがされた。
「ロメさん、いいですか」
「うん何告白!?」
「…いいえ」
ゼロはすっと目を細めて、疲れたように笑った。
「私をしたってくださるのは本当に嬉しいんですが、いい加減にしないと響きますよ」
「ゼロのハートに!?」
「…いいえ、貴方の将来にです」
いたって真面目にそういったゼロは、足早に階段を上った。
「ねえゼロ、貴方が思ってるほどここは針のむしろとかじゃないわ」
「もう放っておいてください、私は片付けなければならない仕事があるんです」
「じゃあ手伝う」
「そんなことさせられません」
私の身にもなってくださいと、ゼロはそういった。
「私はロボットです、ロメさん」
「私もハーフロボットでしょ?ジュエル君が言ってたわ、ほとんど変わりはないって」
「いいえ、彼が優しいだけですロメさん。勘違いしないでください」
「勘違い!?どんどんしたい!!」
「…」
ゼロはあきらめて自室へと入った。
ロメは数年前からゼロをつけまわしている美女で、所長Nの実の娘だ。
派手な原色の髪色は少し過剰な色彩情報をゼロに与えてくる。
タイプは自分より背が高い男と明言しているだけあって、彼女は背が高い。
しかもその守備範囲外の為あの絶世の美少年に抱き着かれてもどきりともしない強固なハートを持っている。
しかしいくら背が高いとはいえ、なぜ自分なのかゼロにはさっぱり分からなかった。
ロメより背が高い研究員は少ないとはいえ両手の指より多いだろう。
そして面食いな彼女はイケメンにしか惚れないはずなのに。
「…フェルマーの最終定理を解いているときにピュタゴラスの定理の反例が気分です」
「じゃあ友愛数でも私と一緒に見つけない?」
「結構です」
冷たく言い放って、ゼロはばたんと扉を閉め…
「…怪力」
れなかった。