☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「セ~レンちゃん♪女の子みたいに泣かされたくなかったらちゃんとお約束しようね?」
「…泣かされてもいいです」
「じゃあ泣かせるよ?俺はやると言ったらやるよ?優しいセレンちゃんと違うよ?」
セレンはうつむいたままずっと黙っていた。
「返事しないってことは泣かすよ?マジで泣かすよいいの?俺の前で女の子みたいにシクシクなくの?いいの?」
「…」
「具体的には正座で7日放置」
「…」
両足がなくなりそうだ。
「プラス背面合掌」
「…」
両手がもげる。
「おもし載せたげてもいいよ?」
「…」
「ヘリオに」
「誓います」
即答だった。
「セレンちゃん変なところで素直だよな」
「…キング様」
「んんー?」
「…ごめんなさい」
バシン、と竹刀が肩に降り下ろされた。
「セレンちゃん。お約束言える?」
キングの持つ竹刀が脅すように首にトン、トンと跳ねる。
「船員に対してのご主人様呼び禁止。船長に対しても禁止。全員の名前に様付け禁止。特にやれと言われた場合を除く」
「うん。いい子だねー。続き」
「また、むやみな謝罪は禁止。卑屈な態度も禁止。丁寧語はなるべく禁止。当然、靴を舐めるとか論外。汚ない。生ゴミ食べない。無機物も食べない。一般に人間の食べ物じゃないものは食べない」
「いーこだね、セレンちゃん。続行」
「ご飯は毎日必ず二食は食べる。夜はちゃんと寝る。適度に休憩を取る。ちゃんと遊びたいときは遊ぶ。仕事ばっかりしない」
「あとは?」
「…辛いときは相談する。勝手に自分を傷つけたり苦しめたりしない。臓器の売買は法律で禁止されてる上に危険でしかも金に困ってないのに絶対しない」
「ちゃんと言えるじゃんね、セレンちゃん?何、言えるけど理解できない?分かんないとこ説明したげるよ言ってみて?」
下を向いているセレンの顔を無理矢理あげさせ、正面からのぞきこんでキングが言った。
「…」
「分かんないとこ説明したげるって、セレンちゃん。ちゃんと納得しとこ?ね?」
「…何で…」
「何で?」
「…何で、俺に構うの」
キングはゆっくり深呼吸して、セレンを見つめた。
「本気で思ってる?ホントに不思議?」
「はい」
「そっか」
キングはセレンを静かに見つめる。
悲しいほどに感情を失った表情はどこまでも簡潔で、完結していた。
「そっか。セレンちゃんには、まだ難しかったか」