☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「揃ったな、全員」
Nは肘掛けに腕を預け、全員に言った。
「話ってなんだよ?」
豪華なソファに沈み込むように座ったヘリオの頭に顎を乗せつつキングが笑う。
礼儀正しく背筋を伸ばすキースの膝に頭をのせ、二人分の席をとってウィングは寝そべっている。
スイムは隣で足をパタパタさせていた。
ゼロは向かい合った二組の間にあるテーブルをジッと見つめ、Nの隣に腰かけたロメがたまにそちらをチラと見る。
「彼の話だ。L…いや、セレン君のな」
「?」
億劫そうに首をコキリと動かして、ヘリオはNを見つめた。
「私も焦らすような事は言わない、結論から言おう。彼は生き返る可能性がある」
「…そんな、ありえないよ!だって一度セレンお兄ちゃんは完全に死んでるんだよ!心肺も思考も停止してる!」
「ずいぶん賢いぼーや。可愛い帽子ね、ぼく?誰の子?」
クスクス言ってロメはスイムに笑いかけた。
「…せやけど。結論やない方の説明聞かせてもらいまひょか?」
ウィングはそれを横目にクイとNを見る。
そうだな、と頷きNはゼロに笑いかけた。
「座ったらどうだ、ブライド」
「…私はゼロです」
「いいから座れ、ブライド」
促されゼロは浅くソファに腰かけた。
「さて、彼の状態だが。非常に良いと言っていい。
具体的には内蔵や筋肉、皮膚に至るまで全く損傷が見られない。…刺青を別にするなら、だが。
よって後は思考能力、つまり人格を復活させなければならない。用は魂を復活、だな。
要領はゼロと同じだ、使える所を残して使えないところを取り替える」
「ゼロは死んでるの?」
キースが驚いたようにそう聞いた。
ゼロは悲しげに笑いつつ首を振る。
「ギリギリでしたね。身体の9割が駄目になりました。精神は99%壊れましたが」
この体に私自身は1%もないでしょう、とゼロは言った。
「好き勝手いじられましたしね…」
死んだほうが幸せです、と呟いたそれに被せるようにNが続ける。
「入れ物はある、彼をつれ戻さなければならない。そのために必要な物が3つある。
1つは方法、2つ目は技術、最後に道具…材料とも言えるが。
1つ目は問題ない、私が協力するのなら無論二つ目も、だ。問題は三つ目、そこで君達にはこれを持ってきてもらいたい」
「不死鳥の尾羽根かよ?」
茶化すようにキングが言ったが、笑みを崩さずNは続けた。
「それならここにもある、それより強力で、より貴重な物だ」
「…」
「悪魔科妖精の羽根のさらに奥深く、丁寧に引き抜いたそれを裂き、筋の一つ一つを溢れた純なる銀の水に溶かし死者の心臓に注げ…有名な伝説だ」
Nはゆっくりと笑う。
「じゃあ、その筋ってやつと銀の水を持って来るんだな?」
「いや、妖精自身をつれてきてほしい。彼女の羽根はいささか繊細だ…」
それと、と悪魔らしい含み笑いを添えてNは付け加えた。
「君らには関係ないと思うのだが、それをやってしまえば彼女は癒しの妖精の力を失う。同時に、羽根を引き抜く時には麻酔を使えば効果が薄くなるから…彼女にとっては地獄の苦しみだ、それを目的で近づけば警戒される。
騙して、捕らえろ。私が必要とするのは羽根と聖なる銀の水だけだ」
至極愉快そうにNは立ち上がり言い放つ。
「本体は必要ないんだよ、いいな。但し殺すな」
「あぁ…それだけ?」
クツリ、笑ってヘリオは立ち上がった。