☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「ゼロ」
「何でしょう?罵倒なら聞きませんよ」
「チビセレンの情報求む」
「…」
ひきつった笑顔で、ゼロは分かりきった事を聞く。
「何ですか…藪から棒に」
「俺、新しい何かの窓を開けた」
「閉めて下さい」
間髪入れずゼロはそう言って、溜め息をついた。
「何故私の周りはボケ担当ばかりなんでしょうか…?」
「お前の存在がもうギャグだろ」
「…一応、私にも心はあるんですよ?形状記憶合金とかではありませんからね?」
何故好き好んで私を痛めつけるのかわかりませんがとゼロは薄く笑う。
魔界の空は紅い。
星すら塗り潰されたように暗く、月まで赤く汚れている。
吹く風だけは爽やかで、愁いに満ち満ちた二人を冷やす。
嘲るような小さな滝の水音にゼロはゆっくり目を閉じる。
「ヘリオさん」
淡い声は何処かいつもとは違うような気もしたが、ヘリオは立ち上がった。
「L君は、幼い頃はもっとハイテンションな子だったんですよ、本当に」
ですが、その頃から馬鹿でしたとゼロは懐かしそうに言った。
「さみしがりで、照れ屋さんで。今と変わらず優しい子でした」
キャンディーとピアノと動物が好きで。
そこらじゅうを走っては、私を呼んでいました…
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「ゼロさんゼロさん見てください!」
「はい…何でしょうか…」
「お友達が書いて下さったんです」
「…」
「L君…」
「手当てをしましょうね…」
「え?なんでですか?」
「…」
「ゼロさんゼロさん!」
「…」
「今日はボクシングして遊んだんです」
「…」
「すっごく楽しかったですよ!」
「L君…」
「はい?」
「…ストレッチャーを持ってくるので手術室に行きましょうか…」
「L君…君は何をしているんですか…」
「ゼロさん、見ちゃダメです!」
「…」
「人に見られたら俺にはねかえって来ちゃうんですよ!」
「…誰を呪ってるんですか…」
「自分です」
「…」
「あ、ゼロさん!」
「…」
「これ、すごいですよ!たくさん血が出てきます!」
「…L君」
「何ですか?」
「物凄い猟奇的な事になってるんですが…」
「えへ、綺麗でしょ?」
「お願いします、L君」
「?」
「テレビで放映できないレベルの自傷行為は止めませんか…」
「何で?」
「…」
「その格好どうしたんですか…」
「道端でコートを着て倒れていた女の子に枕代わりに服をあげたんです、まだちっちゃかったから」
「いくつでしたか…」
「10くらいです」
「君は何歳ですか…」
「7歳です」
「…外の気温は何度ですか…」
「-8度です」
「…」
「ゼロさん!」
「何ですか…」
「俺、大きくなったらゼロさんと結婚するのが夢なんです!」
「…」
「ゼロさん、キスして!」
「…L君」
「はい!」
「解毒剤は何処ですか…」
「ゼロさんゼロさん!」
「…はーい」
「試作品なんですけど、拷問機です!」
「…」
「死ぬか微妙な線を攻めたので俺が死んだらあとよろしくお願いします!」
「…殴りますよ」
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「苦労したな…お前」
「ありがとうございます」
疲れたように、ゼロは微笑んだ。