☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
深く被ったフードになんとか長い髪を滑り込ませ、不快感に耐えながら辺りに目を配る。
こういうときにこの身長は見つかりにくいにしろ不便きわまりない。
でもあんまり大きくなっても考えものなのだ…だから私は自分成長に関しては(身長も含めて)満足している。
ダボダボの服もたくさん買えるし、そんなに食べる必要もない。
小回りがきいてすぐに人混みに紛れ込める。
なにより、まるで時が止まったような…まあ多少大きくなったとは言えるけど…その成長速度は。
何より過去を留めてくれるという私にとっての最大の利点を有していた。
一目で分かるはずだ、例え幼少期に生き別れた兄であっても。
自分の事を一目見たら気がついてくれる。
そして、抱きしめてくれるのだ。
会いたかったって。
幼い自分は間違いなく今の自分と違うにしても、記憶の限り私は成長しないように気を使ってきた。
確かに身長はコンプレックスではある…いつか彼らと歩いたときに不釣り合いだろうから(まるで親子だろう)。
まあ何十歳差の兄弟も、ましてやジュエル様(私は彼の事を極力主人と呼びたくない)は当然いいわけだし、それはいい。
大切なのは会うことだ。
会って、感謝と。
言い様のない感謝と。
この伝えきれない謝罪も伝えること。
言葉足らずでも許してくれるだろう、私の兄もジュエル様も優しい人だったから。
確かに、幼い物心着いた頃の私の思い出が美化されていることは否めない。
でも分かるのだ。
彼らは少なくとも、優しい少年だった。