☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
町を抜けた所にある大きな森に、ヘリオたちはいた。
「おい、ホントに来るのかよ。方向音痴かもよ」
「だったらここまで来る前に死んでるよ、ウィング。だったら万事休すなんだけど」
ウィングの冗談混じりの疑問には、キースが答えた。
「というか、何でこんなとこに仕込むんだよ…すっげー違和感」
「我慢しようよ、ウィング。米粒みたいな物でしょ?」
「いや。耳に仕込んだ方がくすぐったいんだよ。位置が悪いんだよったく…」
仕込まれたスピーカーの辺りを軽く引っ掻くと、ウィングは顔をしかめた。
二人は今、大木の枝の影に隠れている。
幹を挟んで座り、通信機を通して喋っているのだ。
端から見れば、二人とも全く見えない。
ウィングはそれに乗じて、緊張感もなく話しているのだ…
「でさ、キー」
「しー!来たと思うよ。多分…ね…」
西側の方から、深くフードを被った少女が歩いてくる。
ヘトッと垂れた猫耳に、ヘリオは薄く笑った。
シルンよりは馬鹿らしい。
「…さて、もうちょい…」
警戒心のなさそうな足取りだ。
セレンより馬鹿じゃないか、なんてヘリオは思ったが。
まあセレンはまた違った大馬鹿だ。
「おい、ゼロ!」
「…もう少しどうにかなりませんか?私の扱い…」
ぶつぶつ言いながらゼロは飛び出して、少女にとびかかった。