☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
ウィングは水浸しの体を引きずってキースを放り投げた。
「ったく、逃がしたか?」
「そんなこと…げふっ…ないと思うけど…ゴホッ…」
「ま、ヘリオが向かってるかな。つか、さっきの爆発は?」
「交錯魔法じゃないかな」
「え?交錯…?」
首をかしげたウィングに、キースはムッとして溜め息を吐いた。
「魔法で強化した夢術のことだよ。強化魔法とも呼ばれてるけど…さっきのは三角(トライアングル)が混じってたんじゃないかな」
「あー、聞いたことが…ある気がする」
ウィングはあははと誤魔化しつつ、それよりも、と話題をそらした。
「大丈夫だったのかよ?ゼロ」
「…まあ、元々特攻みたいな所あったしね」
「…ご冥福をお祈りするか」
「……うん」
「っ、きゃぁっ!」
「よう妖精。捕まってくれよ、悪いけどさ」
「…っ」
倒れた木によって、逃げ道を奪われた私は、目の前の男に対峙する。
男は金髪で、にっこりと笑っていたのに何だか恐い。
震える脚を叱咤して、私は相手をにらんだ。
相手は、まだ10歳位の少女だった。
体つきもファッションも子供っぽく、ガールと言うよりはチルドに近い。
小さな身長は正に奇跡の妖精の名をもつ彼女に相応しい。
でも、ヘリオの目的は彼女自身ではないのだ。
彼女が妖精だ、間違いないと。
ヘリオは剣の柄に手をかけた。