☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「…ああ、もう…」
ゼロは吹き飛んだ自身の頭部のパーツと左腕を探していた。
「L君の為とはいえさすがに痛いんですが…」
落ちていた上腕を拾いつつ、溜め息をつく。
西で上がった爆発に、ゼロはフウと息を吐くのだった。
「ウォータートラップ!交錯魔法水ノ三角(ウォータートライアングル)!クラップ!」
誘発された爆弾が視界を阻んで、一瞬金髪は消える。
直後襲いかかってきた刃に押され、私はバッグステップを踏んだ。
そろそろ魔力が危ない。
早く決着を着けなければ…
「…ったく、えげつねー攻撃ばっかしてきやがって」
キラリ、輝く瞳は野獣をすら思わせる。
でもどこかその輝きはセレンを思わせた。
ヘリオは剣を静かに突き上げる。
手応えがあって引き抜けば、深紅の血が流れた。
「…っち」
妖精は白いパーカー(あの猫耳の下に着ていたらしい)のポケットを探って青い瓶の中の水をすぐさま傷口にぶちまけた。
たちまち癒えていく傷口は確かに治っているのに。
痛みは一層まして私の全身を麻痺させる。
もうほとんど動けない、それならいっそ。
この魔力すべてに懸けよう。
妖精はにわかに顔色を変えて此方を見据える。
魔力の気でアクアマリンの髪が踊る。
ヘリオはゆっくりと構えた。
「受けてやるよ」
相手は避けるつもりはないらしい。
私は渾身の力を奮う。
「水ノ…」
あ、と思った時には遅かった。
バシャア、と森が揺れて。
「残念でした、妖精ちゃん」
魔力の分配が上手くいかなかったらしい。
魔力喪失で、奇跡の妖精はその小さな体を森に横たえていた。
「死んでねーなら結構だな」
ヘリオは倒れた妖精を担いだ。