☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
船は、小さい。
積み荷はほとんどなく、唯一木箱に一杯林檎が詰めてあった。
それも底をつきかけているようで、もう数える程しか残っていない。
他に人間は乗っていなくて、ヘリオはまた甲板に戻り、倒れている男の子を見つめた。
髪は鮮やかなオレンジで、どうやら帽子の上からフードを被っているらしい。
薄い黄色の防寒具は上まできっちりとボタンが止めてあった。
栄養失調のせいか、少し青白い肌をした男の子は、それでもセレンよりは健康的だった。
「…あいつ林檎なんかたべねーもんなー」
念のため身体検査代わりに軽くポケットなど体をポンポン叩いてみたが、ナイフ一本しか見つからなかった。
念のため取り上げておいて、ぐったり眠っているその男の子を肩に担ぐとヘリオは船に戻った。
「こいつ、手当てしてくんね、キース」
「え?こんな小さい子…どこで拾ったの?」
「さっきの船に倒れてた。まだ倒れてからそんなにたってねーと思うぜ。ま、セレンより手当ては楽だ」
「セレンより難しいのもあんまりないけどね…まさに死にかけって感じだから」
キースは苦笑と共に男の子を受けとる。
「外傷は…」
「いや、多分栄養失調だと思う。食い物が少なくなって食事減らしたんだろ。それで間に合わなかった、と」
「…そっか…他のクルーは生きてたの?」
「生きてたもなにも、こいつ以外誰もいねーや。本当に小さい船でさ、数人で惑星同士を移動するような舟」
「…うーん…ま、訳は後でいっか。危険じゃないだろうし、手当てするね」
「ん、よろしく船医さん」
医務室に消えたキースに笑顔で手を振って、ヘリオはそういやぁ、とウィング達を振り返った。
「あいつら、まだ出てこねーの?」
「うん。遅いような気もするけど…入っていいのかどうかもわかんないし」
「滅多なことはねーだろ、さすがにさ」
ウィングがそう言って、シルンも同意する。
「っていうか、船長もしませんかー?トランプ」
「何?」
「大富豪。やる?」
「やるやる。やぎりなしな」
「何でだよ!?」
「え、だってあれやるといっつも負けるから?」
「で負けるってどういうことだよそれ」
訳わかんねー、とウィングが言ったが、手際よくカードを配り始める。
「…なあ、枚数多くね?」
「ご名答。セット2つ使ってるの」
「はぁ!?おいジョーカーどんだけあるんだよ…全部一人の手に渡ったらどうすんの…」
「んー?ドンマイ?」
大量のカードを扇型に広げながら、シルンが言った。
「じゃ、始めるな~」
ウィングが札を出した。