☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「やったぁ、セレンが、セレンが目を覚ました!」
「!?」
吹っ飛ばされた扉の下敷きになったゼロは痛みに喘ぎながら苦しそうに笑った。
「…できれば…もうすこし…優しくしていただきたかったですね…ヘリオ…さん…」
なんとか扉を押しのけた頃、キースとヘリオの姿は既に消えていた。
「…元気だな、こんな夜中に」
「新月の夜ですね。これが運命と言うんでしょうか、ウィングさん」
「ん?なんか関係あんの?」
ウィングがちょっと嫌そうにゼロに手を差し出すと、ゼロは軽く目礼してその手を取る。
「よお、久しぶり」
「あ、キング。アレルギーはもう良かったのか?」
現れたキングは白衣の裾をたなびかせつつ微笑んだ。
「…アレル…?…あ、いやちょっとコウモリが当たったらしいな。結構きつかった」
「災難でしたね」
ゼロは無表情にそう言うと、少しつぶれた腕を眺めて溜め息をついた。
「…生身の人間だったら即死でしたよ…彼はL君以外の命を粗末にしすぎです」
「まあ、テンション上がってたんだろ」
ウィングがニヤッと笑って、そういえばと首をかしげた。
「こびっとんスイムくんはどこ行ったんだ?そういや姿見ねーし」
「…いえ、L君に会いに行きましょう」
不自然な態度にウィングは顔をしかめたが、キングは楽しそうに言った。
「言ってやるなウィング。ゼロあいつ、子供によく嫌われるらしい」