☆Friend&ship☆-妖精の探し人-

「う…うぅ…」

響く呻き声は、すすり泣きも加わって悲壮なメロディーを奏でている。

両腕に力を奪う環をはめられ、折れそうな細い両足首もガッチリとベッドに固定させられて。

上体を起こさせてウィングは溜め息をついていた。

「…な、毒なんか入ってないから…」


ウィングは顔を背ける妖精に、なんとかスープを飲ませようと苦心していた。

「もういい加減に食えよ、死ぬぞ」

力なく首を振る妖精に、ウィングは心を痛めた。


だって彼女は、何も悪くないのだ。


それこそウィングが笑い飛ばしてきたジョークの1つだった。


悪いことをしなくたって人は苦しむ。

そうでなければいったい何故、俺は壊れたんだ?


でもそれすら言い訳にしてしまいたいほど、ウィングは妖精を想っていた。

本当に悪くないのに。

彼女に罪なんてない。


「…悪魔さん、もう私」

「ウィング。ウィングって呼べよ」

乱暴にそう言えば、妖精は一瞬怯んだ。

「ご、ごめんなさい…すみませんでした…」

慌てて謝ったその両手は震えていて。

思わずウィングは心の中で舌打ちをした。

「ごめん、恐がらせるつもりじゃ…」

「いえ、驚いただけです。お気になさらないで下さい」

取りつく島もない。


ウィングは諦めて、小さく溜め息をついて。

無意識に妖精に手を伸ばしていた自分に気がついた。

動揺はしたがその手をどうしたいのか興味はあったから、そのまま動かして。

うつむいた妖精の頭に優しく置いた。

「!」

ビクッとなった妖精に気がついたが、ウィングはそっとさらさらの髪をすいた。

「地毛?それとも染めてるの?」

綺麗な長い髪で、ウィングはそっと手に取りながら優しく尋ねた。

「…染めてません…けど」

「すっげー綺麗な色。いいかおりするし」

「…昨日洗ってないですよ?」

「いーの…つか、本当いい香りなんだけどさ。なんかどっかで嗅いだことある気がするんだけど…」

「…?」

スン、と息を吸うと優しい香りがする。

「あ、そうだこれ…」


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