☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「殺す気なんだな。俺のこと」
「え?いやそんなつもりは…」
「全世界の戸籍と照らし合わせる。なるほどスーパーコンピューターでやったとしよう一体何年かかる。それをお前は人間の脳でパパッとやれと。餓死させる気か」
「点滴打とっか?」
「そして脳までそれが運べると思うのかお前は。ハードワークで赤血球も途中でダウンだ」
「…ということはそれがクリアできれば問題ないということですか…?」
布団に潜ったセレンにゼロが溜め息をついた。
「…いつの間に覚えたんです?」
「N様が前見せてくれた色んなモニターにたくさんあったのを覚えたんです」
「ついにいってることがファンタジックになってきましたね」
実はロボットっていう落ちじゃと少し不安になったゼロだが、ウィングは無視してセレンに突きかかった。
「なあ頼むって。じゃあ候補だけでも…」
「それにしても突然どうしたんだ。ボーイフレンドか。やめておいた方がいいぞ、悪魔は誠実とはいいがたいからな」
「ちげーよ!?うんしっかり否定しとくぜ違うからな!!」
「…」
セレンはフイとそっぽを向いてしまったが、ウィングは病み上がり(?)のセレンに容赦ない。
「おい教えろって!!あのアクアちゃんのお願いなんだよ!」
「…アクアの」
セレンはウィングをチラと見てうずくまった。
「…吸血鬼を探してると、そう言ってたのか」
「え?あ、まあ結果的にはそうなんだろうけど、お兄ちゃんとジュエル様って奴らしいぜ。物好きだよなぁ、吸血鬼の兄ちゃんわざわざ探しに行くなんてさ」
「おいウィング…」
なぜかへリオはウィングをとがめたが、セレンはそれをかき消すように半ば叫ぶように同意した。
「全くだ。とんだ物好きだな、吸血鬼のことを知らないわけでもないだろう…で、何で探してるんだ。訳は聞いたのか」
「…あ、いや聞いてねーわ。うっかりしてた」
「え、そんなことも聞かずに聞きに来たの?」
横で聞いていたキースが驚いたように言った。
ウィングはへらっと笑ってわりぃと一言。
「何故かいてもたってもいられなくてさぁ。どうしても助けたくって」
「…」
「ん?」
「お前、意外に鈍いのな」
キングが呆れたようにつぶやいた。
「恋だろ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…は」
たっぷり十小節くらいの沈黙の後、ウィングは引きつった笑いを浮かべながら叫んだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」