☆Friend&ship☆-妖精の探し人-

「キング、お前笑顔が怖いんだけど」

「んー?気のせいだろ」

「…」

セレンはゆっくり布団を頭の上に持ってきながらそろそろと潜りだす。

「いやぁそう褒めるなよぉ…照れるだろ」

「…」

首根っこをつかまれて阻止された逃走をあきらめて、セレンはそれより、と問い返した。

「結局、どうしたんだ。ちゃんと逃がすんだろ」

「いや、まだ。選択肢を掲示しといた。もう少しで答え出してくれるだろ」

「そんなこと信用できない。お前の悪行は重々承知してるんだからな」

「おいおい。とんだ箱入り娘だな」

「…」

セレンは小さく黙れとつぶやいて、ため息をついた。

「奇跡の妖精の探し人、嫌われ者の吸血鬼。裏切りだとも知りもせず、健気に彼女は探してる…裏切り者の吸血鬼、罪を償うこともなく…小さな妖精の探し人…」

節をつけて小さな声で歌いつつ、セレンはキングの魔の手から逃げ出した。

「…」

「なに、有名なの?その歌?」

「いや、今適当に作った」

「…ふぅん」

「いい歌だな」

皮肉交じりにキングが言った。


「ウィングさん、気が付いたら貴方がいるのは何でですか?」

「え?はぁ!?」

ポッと赤くなったウィングに、アクアは首をかしげた。

「どうかされましたか?あ、暑いんです?」

「い、いや!?お、お前こそ寒くない?」

「大丈夫です。ありがとうございます」

「う、うんじゃあ良かった…」

ドキマキしながら、ウィングはアクアの包帯に手をかける。

「じゃあ、これ換えるな!」

丁寧にほどいていくと、半分ほど来たところでアクアは遠慮がちにウィングに囁いた。

「…あの…シャワーとか…浴びさせていただけませんか?」

「!?」

想像しかけたウィングは軽く引っくり返り、激しく頷いた。

「でも、その…まだ手とか…大丈夫?」

「平気です。こういうの、慣れてるので」

アクアは笑ってそういった。

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