☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「だから、何回も言ってるですよね?そこのチビ。リトル君が死んだのを隠すメリットは何?私は研究員じゃないから自尊心とかはわかんないわ?でも管理職からして私が知ってることは全部話してるつもり」
真っ赤な髪を振り払いつつロメはそう言った。
記者たちはロメに執拗なほどフラッシュを浴びせるが、かえって気持ちよさげにロメは笑った。
「まあ、詳細が分かり次第報告するわ。それに分かってる?ここにいる間、私は情報を得られない。もし仮に、仮にだけどリトル君が死んだとしても私にはそれを伝えるすべはないし、つまり伝える人もいないの」
ひっきりなしに浴びせかけられる質問に、拡声器を駆使して戦い、ロメはゆらりと嗤う。
「あのね、今現在の状況を知りたいのなら私が何かを知らなければならないの。だから…」
派手に壊れた背後の壁に、ロメはとっさに猟銃を構えた。
水を打ったように静まり返った会場に、ただ濛々と煙が立ち込める。
しかしその静けさはなるほど、かの有名な俳句のごとく鳴り響くフラッシュの中での静けさだったが。
あとで写真をパラパラとスライドショーにしてしまいたい、そんなことをロメは思った。
いかにも昔ながらのアニメーションのようにひと時もずれることなく、なめらかに晴れていく土煙を映すことができるだろう。
「はぁ、はぁ…」
上がった悲鳴は黄色くて、ロメはとっさに耳をふさぎたくなった。
溜息とともに見た自分よりいくらか暗い髪はしっとりと水でもかぶったかのように濡れている。
「何を、なさっているんですか…ロメさん」
「ああ、リトル君。よかったわ意識が戻って」
即座にロメはそつなく言った。
そして何気なく猟銃を肩から降ろす。
「久しぶりの昼寝から起きてみたら臨時ニュースで僕が死んだと報じられていたので。驚きました」
「そう。いつの間に治ったの?」
「今朝には。ロメさんは夜通しだったんですか。お疲れ様でした」
礼儀正しくセレンはロメに頭を下げる。
「あの、そういえば何の記者会見でしょうか。お邪魔してしまい申し訳ありませんでした。ロメさんにお話をと思っただけなので…これで失礼します」
「いいの、今終わったところだから。そうでしょ?」
振り向きつつロメは記者団に問いかける。
激しいフラッシュは相変わらずだったが、どちらかといえばもう記者というよりパパラッチに近い撮影だろう。
セレンは少し強いフラッシュに目を細めたようだった。
それでもやまないフラッシュに少しばかり呆れつつ、ロメは踵を返す。
セレンは記者団に対しても丁寧なお辞儀をしながら、ロメに続いた。