☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「あ、お帰りセレン」
セレンは、病室で待機していた四人に迎えられた。
「あ、お帰りなさいませセレンさん」
「…」
「お帰り、セレンちゃん」
「…」
「セレンお兄ちゃんお帰り」
「…」
全員でパクパククッキーをほおばっている。
セレンは二度瞬きして、一泊間を置いた。
「何してるんだ」
「勉強。アクアちゃんすごいな、人間語がぺらっぺら」
「あたりまえだ、彼女は天才なんだから」
「へえええ、よかったじゃんアクアちゃん」
へリオがアクアの頭を撫でる。
アクアはクスクス笑った。
「ありがとうございます」
「でもアクアお姉ちゃん…算数できないでしょ…」
「え?できますよ?」
「…じゃあ、一たす一は?」
「に」
「3+7」
「10」
「5+8」
「24」
「…アクアお姉ちゃん、もう一回考えよう」
「はい?」
「5+8」
「一か二か三か四か五かろ」
「力任せにしないでよ。繰り上がりができてないじゃんか」
スイムは呆れたようにそう言った。
「それじゃあ幼稚園に間違えられてもしょうがないよ」
「!!そんなことありません!たまたまです!!」
「…じゃあ、お姉ちゃん、九九言ってみてよ」
「1×1=1、1×2=2、1×3=3、1×4=4、1×5=5、1×6=6、1×7=7…」
「一はいいから!じゃあ…四の段」
「4×1=4、4×2=8、4×3=12、4×4=38」
「全然違うよ!!4×9でも36でしょ!?」
スイムが全力で突っ込むが、アクアはそ知らぬふりで笑ってごまかす。
「I don't know」
「格好良く言わなくていいよ!!」
「まあいいよいいよ、人には得手不得手というものがあるし」
なぁ、とセレンに同意を求めるへリオ。
セレンは軽くうなずきつつ首をかしげてアクアを凝視した。
「…とりあえず兆までの数、3桁までの加減乗除、割合、速度、比例反比例、平面図形、空間図形等々1か月でたたき込む。時間をくださいへリオ様」
「いいよ?」
「じゃあ1か月後またお会いしましょう」
「ん?何言ってんの君」
へリオは優しく笑った。
「アクアちゃんはもううちのクルーだよ?」
「…へリオ様」
「なぁに?」
「あなた様をぶっ殺すことは僕には可能ですか」
「可能だろうけどやめてくれねーかな、セレン君」
へリオは少しばかり乾いた笑みを浮かべた。