☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「なるほどなるほど、セレン君はようやく契約書にサインする気になった?」
「…悪徳詐欺師」
「詐欺じゃないよ可愛いセレン君」
反省室に閉じ込められたセレンはまたもやキングに尋問されていた。
セレンは無表情に俯いている。
「何してるんですか?」
「あーっと、ちょっとな」
覗き込もうとしたアクアをさりげなくじゃましつつ、ウィングはアクアを誘った。
「先に出港準備でもしとこっか」
「え?」
「あ、もうさ、明日には出るって。魔界でも俺たちのことがちょっと憶測たっちゃったりしてさ。やばいんだよ」
「なるほど」
「なぁ…俺が言うのもなんだけどさ…辛かったりしないのかよ…?」
「いえ?」
アクアはにっこり笑ってウィングに言った。
「私が絶望していたのは、お兄ちゃんとジュエル様にお会いできないと思ったからであって、私の身の上を案じたのではありませんし」
「え?」
「私はお兄ちゃんとジュエル様にお会いしたいんです。そして、お礼を差し上げたいんです、ウィングさん」
ウィングは微笑んだアクアの表情に魅せられそうになって、初めての感覚に戸惑う。
「…っていうか、そんなに大事だなんて…俺にはちょっと信じられねーな…」
お前にとって、2人って何だったんだ、とウィングはそう聞いた。
「私にとって、2人はあまりにも大きすぎます。私の後悔そのもの…と言った方が自然です」
「後悔…?」
「さて、行くんじゃないですか?」
アクアは踵を返すようにくるりと回った。
「まいりましょう、ウィングさん」
にこっと、アクアは子供のようなあどけない笑みを浮かべた。