☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「こんにちわ、船長さん…と栗毛君」
「こんにちは」
「あ、きれいな人。ロメだっけ?」
「ええ」
ロメはにっこり笑った。
キースはへリオの後ろでにこにこしながら会釈した。
「僕はキースって言うんです」
「はいはい、分かった。こう見えても一度紹介された人の名前と顔は忘れないの」
ロメはそう言って、再びへリオに向き直った。
「ゼロを知らない?意識を失ってぐったりしていたはずなんだけど、気が付いたらいなくなってて」
「意識を?ああ、あの声が聞こえないと思ったわ。つか、魔法で探したら?求人魔法とか」
「残念、私はハーフロボットなの」
「ハーフ…?」
「へぇ、お前も?あ、いやあいつは全身だったか」
首を傾げたキースに、へリオは意に介さず続ける。
「ハーフロボットって言うのはね、魔力とかの引き換えに身体能力を思いっきり引き上げるか、逆に肉体を犠牲にして魔力または夢術を叩きあげる…私は前者」
「犠牲つっても別になくなるわけじゃねーんだけどな?一応ちょっとだけは残る。程度としては特化魔法でも普通に消費しちゃう感じ」
「…ふぅん」
「てか、ゼロは違うよ?あいつはもうロボットそのものだし」
「…」
少し皮肉じみた言い方で、それが少し引っかかったキースは、戸惑った微笑を浮かべた。
「そういえば、ゼロってセレンと仲いいよね。てっきりロメさんがセレンの兄弟で、もともと付き合いがあったのかと思ってたけど」
今の話じゃそうでもないんでしょ、とキースが言った。
「リトル君のこと?」
ロメはおかしそうに言って笑った。
「彼はただの研究員。ゼロはリトル君の世話係だったから接する機会が多かったんじゃない?」
リトル君も家族を失ったばかりで、よほど寂しかったのかゼロに引っ付いてたし。
「あの頃はリトル君可愛かったのに…残念、男になってちゃ面白くないわ」
「ゼロも言ってた。L君は可愛かったとかいい子だったとか」
「あはは、ゼロは孤立してたからかな?特に。リトル君は差別とかはしない主義だったし」
「孤立?…ああ、そう言えば影があると思ってはいたけど」
キースは、そう言って続きを促す。
「うーん…話していいか分からないけど。まぁいっか、特に隠してる感もなかったし…」
ロメは口を開きかけたが、そのときビクッとロメの肩が揺れた。
「おいどうした?」
「ゼロだ…ゼロの気配がする!!」
「はぁ?何のRPGだよ!?」
駆けていったロメに、へリオは苦笑した。
「ま、いっか」