☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「くぁぁぁぁぁ…おい。いい加減許してやれよ」
可哀想にセレンはへリオの後ろで小さく丸まっていた。
へリオは大あくびをしながらセレンをかばっていた。
「無理無理。だって約束だったじゃん?」
「妥協してやれって。震えてる」
「そうやって甘やかすのがダメなんだよ」
キングはそう言って微笑む。
「それにな、セレンちゃん自身には何の害もないし。なぁ?」
同意を求めぐるりと振り返るキングの視線の先には、ゼロがいた。
「そうですね…私を安心させてください、L君。もう君とは一緒にいられません」
「そりゃそうだけどさ、ほら見てみろすっげー震えてる」
後ろ手にかばいつつへリオはそう言った。
セレンは小さく丸まりへリオの足元で震えていた。
「ハムスターかよ、セレン。そんなに怖がらなくていいって」
「…」
へリオの声に顔だけ上げてセレンはへリオを凝視する。
「…大丈夫」
セレンの表情はあまりにも0に近すぎて、へリオは苦笑いしか返せなかった。
「どう?趣味が合うといいんだけどさ…あんまし出歩けないから合わなくてもちょっと我慢してな」
「大丈夫ですよ…こんな大きなお部屋…すっごくうれしいです、ウィングさん!」
キラキラした笑顔を浮かべつつ、アクアは弾んだ声で言った。
ベッドをチョンと触って、部屋中を走り回る。
キャッきゃとはしゃぐアクアに、ウィングはガラでもなく微笑んだ。
ずいぶん前に亡くした弟との思い出が、微かに思い起こされた。
「…アクアちゃん、気に入ったんならよかった」
「はい!!」
「なぁ…アクアちゃん。本とか好き?」
「はい!!大好きですよ」
「図書館行かない?結構すごいとこあるんだよ」
「行きます行きますやったぁ!!!!」
ピンク色に頬を染めつつ、アクアは叫んだ。
「生きてればいいことってあるんですね、ウィングさん」
早く早くとウィングをせかしつつ。
アクアはそう呟いた。