☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「ゼロさん…」
セレンは不意に立ち止まってゼロの方に振り返った。
「どうかしたんですか」
ゼロは心臓部を強くつかんで荒い息をしている。
セレンは近くにあったベンチを引き寄せてゼロを座らせた。
「ゼロさ」
「平気です、すみませんL君。心配をかけてしまって」
ゼロはセレンの手を跳ね除けるようにして立ち上がった。
「あ、ゼロさん駄目…」
一瞬ゼロの半身が傾いで、セレンは崩れかけたその体を支えた。
「…少し…しつこいですね。少し休ませてください」
「はい」
セレンはゼロの背中をさすりつつ無表情のまま頷いた。
ゼロは苦し気に苦笑いを零す。
「…L君…本当に心配してくれているんですか…?」
冗談交じりの問いかけに、セレンはいたって真面目に答えた。
「心配です」
と。
「教えてくれるつもりならさ、セレンに関連するとこだけ教えてよ。確かにあいつらの仲の良さはちょぉぉぉっと異常だよな」
「お前の愛情ほどじゃねーよ過保護」
キングが即座にそう言って、へリオを小突いた。
へリオは楽しそうに笑いつつ、うるさいなと呟く。
「ほっとけ」
Nはため息をつきつつ二人に話しかける。
「機械少年のことは知っているのか?」
「知ってるよ」
キングはどさっとソファに腰かけつつ言った。
「突然変異狙いの大量生産型の子供だろ?女は機械少女。たいてい失敗するから“廃棄”されちゃうらしいけど」
Nはキングの言葉に頷き、薄く笑った。
「まあ、言い訳するつもりはないが。こちらも人材を得ようと必死だったからな。だが…確かにあの時のは多少酷かったといわざるを得ない」
「ふぅん。一応反省してる感じなんだな。へぇ」
「ブライドは“廃棄”されていく兄弟をずっと見てきたから、死ぬ気で努力していた。彼はトップになれた、でも転落の恐怖と戦い続けるしかなかった」
Nの言葉に、へリオはつまらなさそうに言った。
「…ふぅん、で。セレンはいつ出てくるの?」
「…君ら悪魔か」
「ゼロさん、本当に大丈夫ですか」
「はい、大丈夫ですよL君」
本当に君は優しいですね、とそうゼロは言った。
「ゼロさん」
調子が悪そうなゼロを、セレンは支えて立ち上がりかけたのを押し戻す。
「お水でも持ってきます、動かないでください」
「…本当に過保護ですね、君は」
ゼロはぐったりと力なく微笑んだ。