☆Friend&ship☆-妖精の探し人-

「ゼロさん…」

セレンは不意に立ち止まってゼロの方に振り返った。

「どうかしたんですか」

ゼロは心臓部を強くつかんで荒い息をしている。

セレンは近くにあったベンチを引き寄せてゼロを座らせた。

「ゼロさ」

「平気です、すみませんL君。心配をかけてしまって」

ゼロはセレンの手を跳ね除けるようにして立ち上がった。

「あ、ゼロさん駄目…」

一瞬ゼロの半身が傾いで、セレンは崩れかけたその体を支えた。

「…少し…しつこいですね。少し休ませてください」

「はい」

セレンはゼロの背中をさすりつつ無表情のまま頷いた。

ゼロは苦し気に苦笑いを零す。

「…L君…本当に心配してくれているんですか…?」

冗談交じりの問いかけに、セレンはいたって真面目に答えた。

「心配です」

と。


「教えてくれるつもりならさ、セレンに関連するとこだけ教えてよ。確かにあいつらの仲の良さはちょぉぉぉっと異常だよな」

「お前の愛情ほどじゃねーよ過保護」

キングが即座にそう言って、へリオを小突いた。

へリオは楽しそうに笑いつつ、うるさいなと呟く。

「ほっとけ」

Nはため息をつきつつ二人に話しかける。

「機械少年のことは知っているのか?」

「知ってるよ」

キングはどさっとソファに腰かけつつ言った。

「突然変異狙いの大量生産型の子供だろ?女は機械少女。たいてい失敗するから“廃棄”されちゃうらしいけど」

Nはキングの言葉に頷き、薄く笑った。

「まあ、言い訳するつもりはないが。こちらも人材を得ようと必死だったからな。だが…確かにあの時のは多少酷かったといわざるを得ない」

「ふぅん。一応反省してる感じなんだな。へぇ」

「ブライドは“廃棄”されていく兄弟をずっと見てきたから、死ぬ気で努力していた。彼はトップになれた、でも転落の恐怖と戦い続けるしかなかった」

Nの言葉に、へリオはつまらなさそうに言った。

「…ふぅん、で。セレンはいつ出てくるの?」

「…君ら悪魔か」


「ゼロさん、本当に大丈夫ですか」

「はい、大丈夫ですよL君」

本当に君は優しいですね、とそうゼロは言った。

「ゼロさん」

調子が悪そうなゼロを、セレンは支えて立ち上がりかけたのを押し戻す。

「お水でも持ってきます、動かないでください」

「…本当に過保護ですね、君は」

ゼロはぐったりと力なく微笑んだ。


< 93 / 146 >

この作品をシェア

pagetop