☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
翌日の早朝、セレンは苦肉の策でレースを切り裂いたワンピースを気にしつつ芝生に水をやっていた。
「…やっぱりこっちも切るか」
せめてコートを羽織りたかったがあの白衣の悪魔が許してくれるはずもなく。
手袋すら取り上げられてしまったセレンは苦し紛れに裂いたスカートを巻き付けていた。
「よ、セレンんんんー!?」
「…」
もういっそ葦でも摘んで服を編もうかと投げやりに考えていた矢先、ウィングが絶叫しながら現れた。
「どうした!?何があった誰にやられた!?」
「…」
ギリギリのあたりでズタズタになったワンピースはもう既に上半身はまともに残っておらず、悲惨な格好だった。
確かにフリルワンピースよりはましだが、街を歩いていればパンをあげたくなる。
訳を知らないウィングは、おろおろしながら何故かかけられていたので持ってきた毛布をそっと掛けてやった。
「大丈夫かよ?怪我とか…」
「ずいぶん親切だな。しかも早起き。明日世界が滅びるな」
「まてよ!?俺のイメージ!!イメージ返して!!俺なんなの!?」
「…冷酷」
「おい!!」
ウィングがもう一枚毛布を渡してみると、セレンはまず両手をカバーした。
靴下すら履いていない素足はずっと外気にされされているのに。
「…お前な、足に巻いたり体にかけろよ。もっといる?」
「…」
セレンは答えずまた水をまきだした。
「…アクア様はどこにいる。まさか置いてきたのか。一人で。…一人で」
「頼むから責めるなよ、アクアちゃんは寝てんだよ」
「さらわれたらどうする」
「いやさすがにちょっと過保護すぎ…」
「帰れ、一時たりとも彼女から目を離すな」
「…おい、何でお前そんなに過保護だよ?」
セレンは答えず、フイとそっぽを向いた。