☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
翌日の早朝、へリオは船にいた。
「さてさて、あのラブラブカップルどう思う?」
「…」
そういじけるなって、そう言ったへリオはセレンの肩を叩く。
「可愛い子供好きだからなぁ、お前」
「…あの女ったらし」
セレンは足元の芝生をいじくりまわしながら呟いた。
「チャラ男、浮気性、変態、ロリコン、プレイボーイ、馬鹿、アホ、貧乏、不器用、ナルシスト、自意識過剰…」
「分かった分かった」
暗く呟くセレンを励ましつつ、へリオは微笑んだ。
「彼氏ですって紹介されたらどうすんの?」
「…硫酸頭からぶっかける」
「やめなさい」
傷害事件が起きそうだ。
へリオは微笑みながらセレンをなだめた。
「親かよ、お前は」
「…」
黙れ、と小さく呟かれた言葉を聞き流して、へリオは笑った。
「あーさがきたぁーああ…つか夜だな。きれーな紅月、えんぎわりー」
「文句ばっかり言わないでよキング。出るまでにこれ巻いておかないと。これも積んでおかなきゃだし…」
キースは包帯を巻き取りながらそう言った。
キングは輸血パックをポイポイ投げている。
「めんどくせー。どーせ全部セレン用だろ?」
「そうだけど。だってセレンすぐ怪我するんだもん」
「あの餓鬼。アクアと会ってから三回くらい倒れたっけ。なんだっけ?貧血?ストレス?あ、そーだそーだ階段で転んだんだったな」
投げやりに言ったキングはボックスの中に三つまとめて放り込む。
「もうちょっと丁寧にやってよ。破れたら大事でしょ」
「いいだろ。もう数個いっちゃったし」
「うそ!?やめてよ!!」
「嘘だよ、ばーか」
キングはそう言って薄く笑った。
「さ、もう行こうぜ。出港だ」