恋愛成就
「あ、うん」

昌希くんはすぐに帰っていった。
シーンと静まる病室を見回す
…あれ、何で泣いてるんだろ。
涙が流れるのを拭えないから…シーツが濡れていく

「…また来てごめんな、愛麗」

「!?は、蓮琉さん?」

「泣いたのか?」

…一番見つかりたくない人がやって来た。
何で、このタイミングなわけ?
自分でどうにも出来ないこの体を憎む。

「…何かあった?」

「っ…来ないでよ…来ないで、欲しかった
泣いてるのなんて見られたくなかった」

蓮琉さんは、そっと、私の頬を伝う涙を拭ってくれたんだ。
温かくて…優しくて、余計に泣く。

「…友達が」

「犯人だったんだ…愛麗を落とした」

「…でも、許せたよ?いいよって…言えた」

「嘘つくぐらい…なら、友達辞めちゃえ」

「蓮琉さん?…何言ってるんですか」

「…許せなかったろ?…ムカついたろ?」

…何で、そこまでわかるんですか
何で、見破っちゃうんですか…
どうして、こんなこと言えるの?

「…本気で許せる時に許すのがいいんじゃねぇか?
それが、遅くたって仕方ないとは思わないか?」

「うぅ……は、る…さん…」

「…退院する時くらいに、決めたらどうだ?」

「…は、い」

そばにいてやるって、蓮琉さんはずっと隣で手を握っていてくれた
気づいたら眠っていたようだ。
< 44 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop