嘘から始まる恋だった

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手はず通り俺たちは会社を設立した。

『自遊空間 建設事務所』

常盤さんが大和から引き連れてきた2名とヘッドハンティングした1名、事務のパート1名そして…麗奈の義兄は営業として実力を発揮してもらう。

主に、個人でお店を開くお客様が主体となるように。

俺の悪友の親父

飛鳥建設の社長のバックアップもあり、邪魔されずに銀行からの融資も事務所も難なくクリアする事ができた。

後は、俺の問題が難関

怪しまれない為に会社を辞めるわけにはいかない。

しばらく社長には常盤さんになってもらう事になっているが、このまま彼がトップでもいいとも思えてくるほど設立早々に大きな仕事をとってきたのだ。

どんな手を使って勝ち取ったのかは俺の計り知れないところ…彼の数々の実績のおかげもあるのかもしれないが、設立したばかりの会社に任せるなんて無謀としか思えてならないが、それをきっかけに次々と依頼が舞い込んでくる。

福を運んできた…

美容院…数件

洋菓子店

ネイルアートのお店

次々と舞い込む依頼に大丈夫かと心配になり、会社帰りに例の打ち合わせも兼ねて様子を見に行ってみればみんな張り切っている。

「池上社長、差し入れありがとうございます」

義兄の常盤君が声をかけてきた。

「まだ、社長じゃないけど…」

苦笑いする俺。

彼の中で何か吹っ切れたのか、俺を目の敵にしていた奴も今ではこうして懐いている。

麗奈が知ったら驚くだろう。

お互い、思うところはあると思うが社会人であるいい大人がいつまでも過去に囚われているのもどうかと思う。

だが、麗奈の気持ちしだいでは考えていかなければならないだろうと頭の片隅に追いやって、今はやるべき事をしなければならない。

「親父ははなから代理のつもりです。池上しゃ…池上さんに任せて孫が生まれたら毎日孫と遊ぶ為に今は頑張っているんですよ。まだ、お腹の中だと言うのに麗奈のお腹に手を当ててジジ馬鹿丸出しで話しかけて恥ずかしい限りです」

俺が目を細めたのを見て言い直した常盤。そして、彼が変わったのがわかる。

これも野村さんのおかげなのかもしれない。

「そのジジ様はいるかな?」

「はい、社長室に…」

指差すドア。

「ありがとう…もう少し頑張ってくれ…」

彼の肩をポンと叩いてから指差した社長室をノックした。

これから大掛かりな一大イベントに向けて打ち合わせをする為に……
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