嘘から始まる恋だった
ある日のサプライズ
ジューンブライドの休日
入籍だけを済ませ、また、高貴と一緒に生活するようになった私は、毎日のように甘やかされている。
妊婦になってからどんなに睡眠をとっても眠くて仕方ない。そんな私は、朝なかなか起きれない。
そんな私を甘やかす男は、悪阻の酷い時に側にいれなかったからと、私よりも早く起きて朝食の準備をし、目覚めのキスで起こしてくれる。
「おはよう」
「……おはよう」
「起きれる?」
「…うん」
手を握り、背中に手を添えて重くなった体を起こすのを手伝ってくれる男は、休日スウェット姿で起してくれるのに今日は既に着替えを終えていた。
白のバンドカラーシャツに黒のスキニーパンツをスタイルよく着こなす男に見惚れて頬を染める私。
んっと、顔を傾げ微笑む高貴は私の頭に手をのせて今日の朝食メニューを言う。
「今日は、ほうれん草のソテーとスクランブルエッグ。具沢山のスープを作ってみたよ」
あっ……
また、起きれなかった。
「ごめんね」
疲れている高貴に朝食の準備をさせてしまって、申し訳なくてシュンとしていると…
「気にするな…麗奈がしないといけないってことないんだから…それに、俺が麗奈にしてあげたいんだ」
手を引かれリビングへ
ちょうどチンとなるトースター
ナイスタイミングとつぶやきながら、椅子を引いてくれる高貴。
私が座ったことを確認すると、黄金色に焼けたトーストとホットミルクを持って来てくれる。
そして、自分用のトーストとホットコーヒーを持って向かい合わせに座る高貴。
「さぁ、食べよう」
「……いただきます」
手を合わせてから高貴の作ってくれた朝食を食べていると…
「朝食を食べ終わったら一緒に出かけよう」
「うん、どこ行くの?」
「行けばわかるよ」
ニコニコと何か楽しそうに微笑んで、朝食を食べ終えたお皿をさっさと片付けてくれる高貴。
「麗奈は出かける準備をしておいで」
私に洗いものをさせてくれる気はないらしく、リビングから追い出されるかたちで寝室まで手を繋いで連れてかれてしまう。
出かけるってどこに行くんだろう?
クローゼットの洋服の中からデニムのロングワンピースと妊婦用のスキニーパンツを出して着たところ
「だいぶ大きくなってきたな」
食器を洗い終わったのか背後から優しく抱きしめる手がぽこっとしたお腹を撫でている。
「もっと大きくなるんだよ」
「双子だもんな…この細い体が大きさに耐えられるのか心配だよ」
「一気に大きくなるわけじゃないんだから、適度に運動して体力と筋力をつけなさいって先生も言ってるもの」