嘘から始まる恋だった
「……それは…私達が同盟を結んだから周りを欺く為に…でしょう?」
「…欺く為だけでいいならこうして一緒に住む必要なんてない。守りたいからとか欺く為だとか言ってるのはお前の側にいたい言い訳だ」
どんどん甘くなるセリフ。
高貴は、本当に私を好きだと言っているの⁈
ときめいているのに素直に受け入れられないのは…私があなたにふさわしくないから。
「…私にまでウソつく必要なんてないのに…」
「……嘘⁈それはお前のことだろう…自分の心に気づいているくせに欺いて逃げようとするのはどうしてなんだ」
自分以上に私の心を見透かしている高貴が切ない表情を浮かべている。
何も言えない私に…
「…なら、そのまま欺いていればいい」
驚き眼を見張る私の顎を捉え
「だが、俺はお前を好きだ…麗奈…人前だろうがどこだろうが俺は、遠慮なくお前にキスするし、抱きしめる。こんなふうにな…」
顎がグイッと上に向くと触れる男の唇。
義兄の時とは違う痺れる感覚に…あがらえない。
そう思っていたら…
唇を食み、何度も艶かしく触れてくる唇に自然と唇が開いた。
それを見逃さない男が私の頭部をグッと押さえ奥深く舌を絡めてくる。
ウソ…
抵抗するすきも与えてくれない強引なキス。
そして、男の熱い吐息にゾクっと背筋が戦慄き何も考えられなくなっていく私。
時折、唇を離し、妖しく微笑む男に気づきもしないで男の肩に掴まり夢中になっていく。
そして…
「そのかわいい顔をもっと見せろ…この唇も…この鼻も…この目も…頬も俺のものだ」
そう言ってキスを落としていく男の甘い言葉に溺れていく私。
「……高貴…」
切なく名を呼び再び唇にキスをしてくれるのを待っている。
「麗奈…キスするの下手すぎ。そんなんじゃ誰も欺けない…毎日、練習が必要みたいだな…」
クスッと笑い熱くなっている頬を撫でる男の手に欲情している私。
そして…再びどちらからともなく唇を食み何度も啄む唇
もっと…
キスして…
だけど、好きと言えない。
高貴とするキスは私にとっては、至福のキス。
毎日、キスしてもらえると思うだけで胸が高鳴っていく。
「麗奈…どんなことがあっても俺はお前が好きだよ」
嘘よ。
本当の私を知ったら離れて行くくせに…
唇を離した男が甘く囁く嘘に切なく心が痛んでいるのに…甘い囁きと…キスという甘い束縛に囚われていく。