嘘から始まる恋だった
「……こう…き。ダメ……好きになってもらえる資格なんてないの」
男の手が緩んだ隙に胸を押して距離をとった。
「何がダメなんだ?…資格なんて関係ないだろう…お前は何も考える必要なんてないんだ。俺がお前を守るから…側にいさせてくれよ」
さっきまで強引だった男が、かすれる声で切なく囁く声はかすかに震えている。
嬉しい…
自信なさそうに私の返事を待っている高貴。
「……ありがとう。………そう言ってもらえて嬉しい…私も高貴の彼女役を演じてお見合い話がなくなるように頑張るからね」
好きだと言ってくれる高貴の気持ちを傷つけたくなくて…私が今言える精一杯の返事だった。
男が目を一瞬だけ目を細めた。
私の答えが気に入らなかったのだろう…
「……話が立ち消えるのとお前が俺を好きだと認めるのとどっちが早いだろうな?」
意地悪く笑った男が押していた男の胸から私の手を解き、私の頬を両手で押さえて再び唇を食むでいく。
好きだと自覚してしまった私…
キスしてもらえることに喜びを感じてしまった私には、それを抵抗する術が出てこない。
焦れったく下唇を何度も唇で食み、歯を立てる痛みは甘い疼きを起こしジンジンと熱い。
舌先で唇をなぞり私自ら唇を開くのを待っている男。
かすかに開いた隙間に舌先を入れ、力の入っていない歯列を簡単にこじ開けて、舌を絡めとってしまう。
男と絡める舌からは甘い蜜の味がして、喉をいっぱいに満たしていく。
口から漏れる蜜を舌先で舐めとる男
「甘いな…もっと味わせろよ」
「……んっ…ぁ……ぁ……」
強引に口の奥深くまで舌を挿入して、唇からだらしなく溢れる蜜が首すじを流れていく。
それを見過ごさなかった男。
唇から顎
顎から首すじに舌を這わせ舐めとっていく。
「んっ………あっ……っ…ぁ……だ…め」
体に走る甘い痺れにゾクゾクして…男にしがみつく私。
そんな私をクスッと笑い、ブラウスの襟の中まで流れてしまった蜜を舌先を入れて舐めとろうとする男が、ボタンを1つ、2つと外していた。
わかっているのに…抵抗できない。
デコルテに溜まった蜜を啜る生々しい音に、聴覚、視覚が侵されていく感覚をただ、受け入れてしまっている。
抵抗もせず、男の腕の中で与えられる甘い痺れに翻弄され、何度も繰り返す艶かしいキスは私の思考を奪っていった。