嘘から始まる恋だった
見ているだけでよかった存在の彼女。
それが、偶然とはいえ奴に迫られ困っている麗奈を助けたことで、見ているだけでよかった存在が…急に欲しくなった。
その時、事情は知らなかったが他の男にとられるぐらいなら…俺のものにしたいと思ってしまった。
1度、決心してしまうと俺は諦めるということをしない。
それは、仕事でも同じことだ。
妥協しないから…大和一族という肩書きを抜きにして上に登りつめて今の位置にいる。
現、社長に子供は女しかいない。
まだ、高校生の彼女に政略結婚をさせるには早いが、旦那候補に飛鳥建設の息子
…飛鳥 零の名が上がっている。
飛鳥建設を吸収して更に大和を大きくしたい社長の思惑と密かに零に片思いしている彼女の思惑が一致し…密やかに何かを計画している様子。
だから…昔からの悪友 零に漏らした。
欲しかった大和建設の社長の椅子を誰にも渡したくないから悪友さえも利用してきたのに…それ以上に欲しくなってしまった彼女。
どんなことをしても手にいれる。
いい人の仮面を被り…
お見合い話さえも利用して…
義兄である常盤さえも利用する。
お互いの為といいながら近づき…
油断させて…信用させる。
専務室に行く前に
彼女の手をぎゅっと握って
『俺に任せておけ…』
安心させる。
本当は、余計な事を喋らせない為だと思いもしないで…信頼しきってかわいく頷く麗奈の姿に俺の邪な邪心が高揚するほど…だった。
高ぶる心…
俺はどこまで鬼畜とかしているのだろう⁈
常盤専務の信頼を得る為に、饒舌に事の経緯を報告。
そして…本来の目的
結婚を前提の同棲を認めてもらうことで
彼女を俺の手中に収める事ができる。
彼女の心が手に入ればすぐにでも結婚して俺だけの麗奈にしたい。
専務は、社長と会長の思惑を知っている。そして…俺が今まで社長の椅子欲しさに何をしてきたかもわかっているからか
『そうだね…本当は交際さえも反対しようと思っていたんだよ。高貴君は、会長の1番のお気に入りだ…その会長の気持ちを無下にしてまで高貴君が真剣な気持ちだとは思えなかったからね。でも、こうして話を聞いて君の真剣さがみえたから同棲まで許すんだよ。それの意味がどういうことか君はわかっているよね?』
麗奈を傷つけることは許さないと釘をさされる。
温厚そうに見えてこの人は、大和一族の上層部の中で唯一の部外者…相当のやり手だからこそ専務という肩書きを持っている。